[ワシントン 9日 ロイター] - 米国と中国は9日、ワシントンで行われている貿易問題を巡る閣僚級協議の1日目を終了した。米国が中国からの輸入製品への関税引き上げを準備する中、協議の行方に注目が集まっている。

中国の劉鶴副首相はこの日、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、ムニューシン財務長官と約90分会談。

ホワイトハウスの報道官によると、ライトハイザー、ムニューシンの両氏と劉鶴副首相は、10日午前に通商協議を継続することで合意した。

米政府は米東部時間10日午前0時1分(日本時間同午後1時1分)に、中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げるとしている。

携帯電話やコンピューター、衣類、おもちゃなどの消費財が特に打撃を受ける見込み。

トランプ米大統領は9日、新たに3250億ドル相当の中国製品に追加関税を発動する手続きを始めたことを明らかにした。

トランプ氏は、中国が数カ月に及ぶ交渉で示してきた約束を破っていると批判。ホワイトハウスのイベントで「合意に非常に近づいていたが、中国側が交渉のやり直しを始めた。それはできない」と述べた。

米株式市場は通商交渉への警戒感から下落して終了した。ただ、中国の習近平国家主席から「美しい」書簡を受け取ったとトランプ氏が述べると、下げを縮小した。米原油先物価格は下落。米国債利回りは安全資産への資金シフトから低下した。

米商務省が9日発表した3月の貿易赤字は前月比1.5%増の500億200万ドルだった。トランプ氏が掲げる「米国第一主義」政策の中心的な課題である対中貿易赤字は16.2%減の207億4900万ドルと、2014年3月以来の低水準になった。

中国商務省は9日、米国との貿易戦争において自国の利益を守る用意が十分にあると表明。その上で、米国が一方的な措置でなく対話を通じて問題を解決することを期待するとした。同省の高峰報道官は記者団に対し、中国には国益を守る決意と能力があるが、米国が歩み寄ることを期待すると述べた。

関係筋が明らかにしたところによると、中国が合意文書案の文言を大幅に変更し、米国がそれを拒否することを踏まえると、文言修正には1カ月かかる可能性がある。ただ、協議は数日間続く可能性があるという。

中国が交渉を長引かせるためにある程度譲歩することや、交渉が決裂することもあり得る。また、中国が、合意文書案の大幅修正を撤回し、6月に日本で行われる20カ国・地域(G20)首脳会議までの合意を目指して残る課題に取り組むことも考えられる。

*内容を追加しました。

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