本物のビジョンをもつ企業だけが、成長を続けられる

2019/5/12
昨今「ビジョンの大切さ」がいたるところで聞かれるようになった。
現に世界を見渡してみると、「Earth’s most customer-centric company(地球上で最もお客様を大切にする企業であること)」というビジョンを創業当初から現在まで掲げているアマゾンのように、短期間で急成長を遂げた企業の多くには明確なビジョンがある。
アマゾンのHPにはOur DNAとして「Earth’s most customer-centric company」(地球上で最もお客様を大切にする企業であること)と書かれている。
そんなビジョンについて真正面から解き明かしているのが、ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫氏による『THE VISION あの企業が世界で急成長を遂げる理由』だ。
江上氏は「ビジョンをお題目にせずに、本物のビジョンをもつ企業や組織だけが、成長を続けられる」と語るが、そもそもビジョンとは何だろうか。また、本物のビジョンはどのように作るべきか。
江上氏に聞いた。
ビジョンを見失っている
──新著「THE VISION あの企業が世界で成長を遂げる理由」では、江上さんは日本にビジョンがあった時代として、「明治維新期」と「高度経済成長期」を挙げられています。その後にあたる現在の日本が停滞している理由について、どのように考えていますか。
ビジョンを見失っていることが、非常に大きいと思います。
著書の中では「リアクション芸人」と表現していますが、国も企業も何か起こったことに対して自ら「アクション」を仕掛けず、「リアクション」しているようにしか見えない。つまり「主体性を持って動いているとは思えない」ということです。
行き先を決め、旗を立てなければ、船が進まないように、本来であれば国でも、行政でも、企業でも、個人でも「自分たちは、こっちに向かうんだ」というビジョンがなければならない。
そうじゃなければ行き先を決めていない航海のようなもので、自分たちがどこに行くかもわからない。漂っているだけなんですね。