[バンクーバー/ニューヨーク 8日 ロイター] - 中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の孟晩舟最高財務責任者(CFO)の弁護団は8日、同氏の米国への身柄引き渡し手続きを中止するよう裁判所に申し立てる方針を示した。この日、カナダ・ブリティッシュコロンビア州の最高裁判所に孟氏が出廷した。

孟氏は昨年12月、米国の要請を受けカナダのバンクーバー空港で拘束された。ファーウェイとイランで事業を行う企業の関係について、国際的な金融機関を欺いたとして米当局に起訴されており、身柄引き渡しを巡り争っている。

トランプ米大統領は昨年12月、孟氏の逮捕後、ロイターの取材に、米中通商協議の進展に資するならこの件に介入する考えを示した。

孟氏の弁護団は、こうしたコメントで米国がカナダの裁判所で手続きを継続する資格を失ったと主張。また、孟氏がバンクーバー空港で拘束され、所持品検査や質問を受けた際の当局の対応は違法だったと訴えた。同氏の弁護士は裁判所に対し、空港で3時間拘束される間、孟氏は権利行使の機会を「完全に奪われた」と強調した。

弁護団はさらに、イランで事業を行っていたスカイコムと呼ばれる会社とファーウェイの関係について金融機関に虚偽の説明を行い、この金融機関を米制裁法違反のリスクにさらしたという証拠はないと主張。

この金融機関は、 ファーウェイとスカイコムの関係を把握していたとした。

金融機関の名前は特定しなかった。ただ米側は、孟氏がファーウェイとスカイコムの関係について、HSBCホールディングス<HSBA.L>などの金融機関に虚偽の説明をしてだましたとしている。

HSBCはコメントを差し控えた。

ファーウェイはこれまで、スカイコムはイランでの提携先企業だと説明している。米側はイランで秘密裏に事業を行うために利用した非公認の子会社だとしている。

弁護団はまた、孟氏が罪に問われている行為はカナダでは犯罪には当たらないため、身柄引き渡しは不可能との見解を示した。裁判所の資料で「起訴内容は、イランに関連する国際的な金融取引を禁止している国でしか成立しない」と記した上で、「カナダはもはや該当しない」と訴えた。

弁護団は一方、身柄引き渡し審理の中止をいつ申し立てるかは明らかにしていない。審理の日程はまだ決まっていない。

孟氏は現在、カナダのバンクーバーで保釈中。

*内容を追加しました。