【新】ソフトバンク、トヨタも注目。住宅市場の「超自由時代」

2019/5/13
住まいを巡る環境に、激変が起きようとしている。
5月9日、トヨタ自動車とパナソニックが、両社の住宅関連事業を統合し、共同出資の新会社を設立すると発表した。
街づくり事業で合弁会社を設立したトヨタとパナソニック(写真:Natsuki Sakai/アフロ)
新会社の詳細は明らかにされていない。だが、単なる住宅事業の統合にとどまらないことは確かだ。
トヨタ自動車の白柳正義執行役員は、記者会見で、「不動産開発や住宅開発、建設のデベロップメント(開発)とテクノロジーの融合」と統合の目的を述べている。
トヨタとパナホームの統合は、伝統的な「ハコモノ」産業からサービス産業へと変貌を遂げようとする住宅・不動産産業における象徴的なものだ。
この分野では、ソフトバンクグループも集中的に資金を投じている。インドのホテル予約サイトOYO(オヨ)、コワーキングオフィス運営大手の米WeWorkに出資、両社とも日本での事業展開を加速している。
ソフトバンクGの19年3月期決算発表ではOYOやWeWorkも紹介された(写真:田村翔/アフロ)
住まいの分野では、ADDress(アドレス)やHafH(ハフ)など、定額制の「住み放題」も登場。自由に住む場所を変えていくライフスタイルを後押しするサービスは今後も進化を続けていく。
ADDressの南房総の施設(写真:ADDress提供)
働き方改革の後押しを受け、リモートワークが普及したことで、住む場所、働く場所に対する自由度はかつてないほどに高まっている。
こうした動きの中で、新しいサービスを付加することで「住まい」や「オフィス」を再定義するサービスに、企業がしのぎを削る時代が到来しようとしている。
こうした市場の大転換は、私たちの住まいに対する選択肢にも大きな影響を及ぼすだろう。
国土交通省の調査によると、「持ち家派」は8割に上る。「持ち家信仰」はいまだ根強い。しかし、選択肢はもはや買うか、借りるかの2つに限らない。
買うか、借りるか──。これまでの二者択一から、ライフスタイルやライフステージに応じて、住まいや働く場所を柔軟に選択できるようになることで、この問いに対して、従来とは違った視点を加えて検討する可能性が出てきたからだ。

与沢翼、ひろゆきが登場

特集「最強の持ち家vs賃貸」では、こうした住宅・不動産市場の変化を追いつつ、買うか、借りるかという永遠のテーマを考えていく。
特集1本目は、かつて「秒速で1億円稼ぐ男」ともてはやされた実業家の与沢翼氏。会社倒産、シンガポールへの移住を経て、純資産70億円超を運用する投資家としてカムバックした。
そんな与沢氏が「賃貸住宅に住むか、持ち家を買うか」という問いに答える。
不動産の取得によって、「全てのパラダイムが変わった」と話す与沢氏。その回答は、あらゆる投資に通じる重要な指摘にあふれている。
【与沢翼】家を買うなら「キャッシュ全額一括払い」が最強だ
人口減少社会を突き進む日本。地価や不動産価格の将来的な値下がりを不安に思う人は多いだろう。3話目は、不動産テック企業の力を借りて、2030年の東京の資産価値の行方を大胆に予想する。
「資産が目減りしにくい」駅はどこか。上位にランクインしたのは、意外な駅だ。
【AIが予測】資産価値が「落ちにくい駅」「落ちやすい駅」
特集4話目は、今年の春、新たに登場した「定額制住み放題」や「住み替え自由」のサービスを比較する。ソフトバンクグループが出資するOYO、国内から出てきたHafHやADDressなどの新興企業が続々と登場しているが、その違いは何か。
住宅・不動産業界に新風を巻き起こそうとする経営者を直撃した。
【徹底比較】住宅サブスクリプションはこう使う
日本上陸以来、破竹の勢いで拠点数を拡大する米WeWork。事業者同士でスペースをシェアする新しいオフィスの形態は、日本のオフィス市場と働き方に変革をもたらそうとしている。
そんな中、WeWorkの最大のライバル企業に動きがあった。今年4月、世界110カ国で事業を展開する「リージャス」ブランドの日本事業を日本の貸し会議室大手が買収した。
特集5話目は、NewsPicksの独占取材に応じたTKP(ティーケーピー)の河野貴輝社長が買収の狙いを明かす。
【激白】WeWorkのライバルに急浮上。TKPの正体
特集6話目は、人口動態や交通利便性だけでは予測できない住まいの価値の変化を考える。
住宅の価値を決めるのは、駅からの「近さ」だけではない。現在の住宅市場は「駅近」一辺倒だが、リモートワークの普及、モビリティ革命などで、住まいを選ぶ基準が大きく変わる可能性をはらんでいる。
【近未来】30年後「駅近物件=最強」は崩れる
第7話目は、匿名掲示板「2ちゃんねる」の創設者の西村博之氏が「賃貸vs持ち家」の議論に登場する。
地価の値上がりが続く世界有数の都市、パリに拠点を移したひろゆき氏。日本の住宅について独自の視点で持論を展開する。
「持ち家を資産だと思っている人は、頭が悪い」「タワーマンションは趣味」など刺激的なキーワードで日本の持ち家信仰をぶった斬る。
【ひろゆき】持ち家は「損する趣味」。買うならパリ・NY
若い時代の貸家住まいを経て、夢のマイホームを手に入れる──。
「住宅すごろく」と言われた住まいの理想像が、価値観の多様化により、1つのものとして語れなくなりつつある。
住宅に求めるものは何か。生活の中でどう位置付けるか。この特集が、住まいを見つめ直す一助になれば幸いだ。
(執筆:花谷美枝、デザイン:國弘朋佳)
※特集の順序や掲載日は変更になる場合があります。ご了承ください。