仮想粒子 省エネ化のカギ?
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注目のコメント
過去にスキルミオンに関してコメントしたことがありましたね。
将来不要となるスキル、必要になるスキルは?
https://newspicks.com/news/3420766/
まず、用語として仮想粒子は間違いで、せいぜい「準粒子」と呼ぶべきものです。
仮想粒子とは、場の量子論において、素粒子間の相互作用を媒介するとされる観測できない仮想的な粒子で、例えば電磁気力(日常的に経験する重力以外の力の全て)は光子という仮想粒子を交換すると説明されます。
一方準粒子は、複雑な相互作用が働いている物質の中において、あたかも相互作用をまとった独立の質量を持つ自由粒子かのように振る舞う離散的(数えられる)現象の集団のことで、「粒」として存在しているわけではありませんので、取り出すことは不可能です。
例えるなら、大気中に発生する竜巻の様なもので、竜巻という現象は数えられます(≒粒子)が、物体のような実体があるわけではなく、空気の外(例えば宇宙)に取り出すことは出来ない、といった感じです。
「スキルミオン」は、一般の連続場における位相幾何学的な渦のことで、まさに竜巻の様なものです。スキルミオンには様々な可能性がありますが、記事中の話は全て「磁気スキルミオン」と呼ばれるもので、磁石としての原子(磁気モーメント)か作る渦と思って貰えば良いと思います。
磁気スキルミオンは、2016年にノーベル物理学賞を受賞した「トポロジカル相」にも関連が深く、構造の安定性がそのトポロジカル構造に由来する場合があり、数学的にも興味を持たれています。(ノーベル賞受賞したサウレス氏は4月6日に亡くなったばかり)
https://newspicks.com/news/3805286/
磁気スキルミオンはメモリなどに使われている「磁区」に比べて、必要な印加磁場の大きさが極端に少なくて済むので、記憶素子の省エネ化として期待が高まっていますが、エネルギー問題の大きな意味での省エネとはちょっと次元が違いますね。
また、モノポールの発見の期待との記述がありますが、これも恐らく準粒子的なもので、振る舞いとして興味はあるものの、ビックバン直後を再現できるわけではありません。昨年も擬モノポールの発見の報告がありましたね。
https://newspicks.com/news/3503147/