【落合陽一×宮台真司×田原総一朗×西田亮介】令和時代に語るべきこと

2019/5/3
5月1日のWEEKLY OCHIAIは「令和元年スペシャル」。宮台真司さん、田原総一朗さん、西田亮介さんをゲストにお迎えし、これからの日本の針路を議論しました。
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夢から覚める令和時代
この日のWEEKLY OCHIAIは、社会学者の宮台真司さん、ジャーナリストの田原総一朗さん、東京工業大学准教授の西田亮介さんをゲストにお迎えし、日本のあるべき姿を徹底議論した。
新たな時代の幕開けを迎えた日本。
これからの日本の針路について、今語られるべきこととは──。
選択肢を自分でつくれ
落合 「政治的解決」で解決しないって、若い人が政治的議論から離れてしまってる。
田原 若いのは離れるけど、何もしない。選挙に行ったら、安倍内閣に入れる。
落合 他に選択肢がなくて、消極的に入れてるのは構造的欠陥な気もする。
宮台 任せてブーたれるだけで、引き受けて考えない。ジャパニーズ独特の構え。選択肢、自分で作れよって思うんだよね。政治に訴えれば良いじゃないか。
宮台真司(みやだい・しんじ)社会学者/映画批評家。1959年宮城県仙台市生まれ。東京大学大学院博士課程修了。東京大学教養学部助手、東京外語大学専任講師などを経て、首都大学東京教授。国家論、宗教論、性愛論、犯罪論、教育論、文化論などの分野で多くの著書を持ち、独自の映画評論でも注目を集める。
倫理的に正しい判断は何か
宮台 小室直樹は「金を使う選挙がいけない、金権政治がいけないって奴は、全員火あぶりにしろ」って言ってたんですよ。それは何故か。マックスウェーバーに遡る。
金のために政治をするのか、政治的な目標のために金を使うのか。どちらなのかが大事。
落合 その通りで、金が自分に入ってくるのか、再配分のために使われるかだったら、後者の方が倫理的には正しい。
田原 僕の番組で、みんなが大批判の時に、小室が田中角栄を大賛辞。
宮台 だから、田中角栄は倫理があったのよ。
誰かにリターンを返そうとか、誰かのためにやろう。そのために、影響力として何を使えるかを考えた時に、彼は金が使えると思った。
もちろん、法律違反はいけないけれど、動機づけにいけない所はない。
逆に「合法的であっても、動機が浅ましければ政治家として相応しくない」というのが、マックスウェーバーの議論なんです。
落合 この話は重要で、今、経済界の方が政界より強い。その中で、お金を経済政策決定に使えなくなったら、害悪とされたら、倫理的に正しい判断は出来なくなる。
要は、産業界がこういうお金の使い方をして、政治をやっていこうと決めた時に、「それはお金を撒く事だ」と批判する奴らが出てくる。
そいつらは倫理的なことを考えていない。
西田 ただ、規制は設けないといけない。
アメリカの場合、ロビイスト統制法が定められている。ザル法ですけど、登録ロビイストしか、ロビイング出来ない建前になってる。
日本の場合は、国家公務員法と政治資金規制法等の制約しかない。
それから、官邸が情報を隠すので、すぐ破棄するので、誰が誰に接触したか全く分からない。そこは何とかしないといけない。透明性を上げるためのルール設計が必要。
西田亮介(にしだ・りょうすけ)。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。慶應義塾大学博士課程単位取得退学。専門は公共政策の社会学。情報と政治、情報化社会のジャーナリズム、無業社会等を研究。(独)中小機構経営支援情報センターリサーチャー、立命館大大学院特別招聘准教授などを経て、現職。『不寛容の本質』をはじめ、著書多数。
仕組みも、中央に立つ人も大事
田原 小選挙区制が悪い。自民党に公認されようと思ったら、ゴマすらないといけない。だから、自民党議員は安倍のYESマンになった。
西田 これね、自民党が割れれば、変わると思います。自民党が割れると、もう一度政界再編は起こりうるかもしれない。
野党からボトムアップで政界再編は起きない。
田原 問題は、西田さんが言う通り、自民党を割る奴がいるか。石破は割ろうと思ったけど、石破の方がダメになっちゃったね。
田原総一朗(たはら・そういちろう)。ジャーナリスト。1934年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、岩波映画製作所を経て、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。『朝まで生テレビ!』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。早稲田大学特命教授を歴任。「大隈塾」塾頭。
宮台 田原さんの議論は、いつも具体的過ぎるので、全く学びにならない。西田さんの議論は、抽象的だから重要。
彼は「アーキテクチャー」、つまり仕組みとか制度的な形が非常に重要で、それによって同じクズプレイヤーでも、出力が良くなることがあり得ると言ってる。
小選挙区制になってしまうと、田原さんがおっしゃった通りのこと。
まさに正しさとか愛に生きている人間よりも、権力とか、効率的にケツ舐めた奴が上にいくばかりになる。
全て政治主導にして、官僚の人事とか自民党の人事を、官邸が握るとかやると、中央にいる奴が賢ければ良いけど、馬鹿だったら終わり。
ハッキリ言って、終わりつつあるじゃん。
なので、アーキテクチャーも大事だけど、アーキテクチャーを変えるのも人なので、人も大事なんだよね。
落合 僕は、番組を見ている人に一言あるんですけど、ここでしているような話が「今の話」に聞こえないとするなら、それは大幅な間違い。今の話なんですよ。
落合陽一(おちあい・よういち)。1987年東京都生まれ。筑波大学 准教授・学長補佐 デジタルネイチャーグループ主宰。ピクシーダストテクノロジーズ代表取締役。
最低賃金を1300円に
宮台 最低賃金を全部一律にして、上げるべき。ヨーロッパは大体時給1200~1400円。
正社員どうのこうの以前に、非正規の人が貧しくなる理由は、最賃が低いから。これを1300円にすれば、クズ産業はどんどん潰れていく。クズ産業は潰さなきゃダメ。
落合 クズ産業を潰すというのは、ご指摘の通りで、正しく市場の原理が働いていない。
西田 それでいうと、法人税と変な控除が多過ぎる。法人税をあげたところで、日本人の企業の大半は、日本から出ていけない。
それから、税率によって、日本に新規に入ることを辞める企業は最初から入ってこない。
日本はボロボロ
田原 恐らく、このままいくと、安倍内閣はまた消費税上げないで伸ばす。
宮台 でも面白いね。アベノミクスが失敗したのを国民に謝罪しなければ、上げられないよね。
田原 失敗したって、みんな思ってる。
宮台 思ってたって、本人は認めてないからね。この問題は大事で、安倍はアベノミクスが成功したとずっと言い続けていてね。
実は、大学生とか本当に成功したと思ってる人が大勢いる。
田原 これは単純。失業率が3%を割ってる。いま人手不足で、大学生はみんな就職出来ちゃう。
宮台 そこだけを見せるのが、安倍たちがやってることでしょ。
でも、実質所得は20年間ほぼ一貫して下がっている。去年、突然計算方法変えて「実質所得上がりました」とか言ってるけど、従来の方法で計算すると下がってるんだよ。
一生懸命、粉飾決算してるわけ。
もう一度、大事なポイントを言います。
国民のかなりの部分が安倍内閣を支持しているのはね、失業率とか株価とか、安倍内閣が見せたいものだけを見ているわけですよ。
実際に一番見なきゃいけないのは、実質所得なんです。労働生産性なんです。経済的成長率なんです。全て日本は、ボロボロなんです。
産業構造改革が必要
落合 ヨーロッパ諸国って、毎月GWくらい休んでるんですよ。そのくらい休んで良い。
だけど、働けば働くほど、お金が増えると思ってる人たちがいる。労働生産性が低いのに、一日中働いている人が多すぎるんですよ。
労働生産性が低いから、休みを増やして最低賃金上げるというのは、めっちゃ賛成。そのくらいの余裕感が必要。
宮台 そのために、労働生産性を上げる。そのために、AI が実は日本でもっとも必要。他の国はもう労働生産性高いんですよ。
父性が足りない日本社会
記事でご紹介したのは、議論の一部分。
政治に隷属する体制が三権分立を弱める
・人生100年時代だから解雇規制緩和は慎重に
・経済界は損得だけで生きる人だらけ
激論の全貌は、番組本編にてお楽しみ下さい。
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今回の放送をもって「WEEKLY OCHIAI」 シーズン2は最終回を迎え、シーズン3に向けてしばらく放送を休止します。
<執筆:潘嘉敏、デザイン:片山亜弥、潘嘉敏>