(ブルームバーグ): 米連邦公開市場委員会(FOMC)は4月30日、5月1日の両日開いた定例会合を終え、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25-2.50%のレンジで据え置いた。また将来の金利の道筋に関して辛抱強い姿勢を続けると1日に表明した。

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声明発表後に記者会見を開いた米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、米国のインフレについて、「一過性」の要因で抑制されている可能性があるとの認識を示した。また金融政策に関して引き締めと緩和のどちらの方向にも偏っていないと説明した。景気支援での取り組みが不十分だとして、トランプ大統領は繰り返しパウエル議長を批判しているが、議長は会見で政策スタンスは「現時点で適切」であり、「いずれの方向にも動く強い論拠は見られない」と述べた。

FOMCは声明で、「今後FF金利誘導目標レンジにどのような調整が適切なのかを判断する上で、委員会は辛抱強くなる」と、前回声明の文言を繰り返した。FF金利誘導目標レンジの据え置きは全会一致での決定だった。

声明でインフレの抑制が強調されたことから、米国債市場では反射的な買いが一時広がった。だがその後、パウエル議長が政策スタンスは適切であり、インフレ抑制は一過性の要因が作用している可能性があるとの見解を示すと、国債相場は下げに転じた。

今回の会合では、実効FF金利を誘導目標レンジ内にとどめることを目的としたツールの1つに調整が加えられた。FOMCは、超過準備の付利(IOER)を2.35%と、従来の2.4%から引き下げた。ただパウエル議長はIOERの変更について、「意図する金融政策スタンスのシフトを反映してはいない」と説明した。

金融当局は過去の利上げに対し、トランプ氏から度重なる批判を受けている。だがパウエル議長をはじめ金融当局者らはこれまで、そうした圧力を受け流し、中長期的な米経済を見据えた上で最も適した政策を目指していると繰り返し表明している。

今回の声明は景気判断を若干上方修正。「経済活動の伸びは着実なペースで拡大した」とし、「労働市場は力強さを維持」したと表記した。

一方でインフレについては、前年比ベースでの総合とコアのインフレ率は「低下し、2%を下回っている」と文言を若干修正。3月会合の声明では、全般的なインフレ率の低下について、エネルギー価格低下によるところが大きいとしていたが、今回はその文言を削除。またコアインフレ率が「2%付近」にとどまっているとの文言も削除した。

個人消費支出(PCE)総合価格指数は3月に前年同月比1.5%上昇と、伸びは金融当局の目標である2%を大きく下回った。

原題:Powell Says Policy Appropriate With No Bias to Hike or Cut (2)(抜粋)

(パウエル議長の発言などを追加し、更新します.)

--取材協力:Jordan Yadoo.

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