戦わなくていい。自分の価値は、自分で決める
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取材中、CHAIの皆さんの言葉からは、揺るぎない芯の強さが伝わってきました。「戦わないで、お互いを認め合う」という彼女たちの行動指針には、私自身、多様化が進んだ平成に生まれた20代として、心の底から共感します。自分はどうあがいても自分ですし、それは変えられない事実。人からどう言われようと、変えられないものは変えられません。そして、それは自分以外の人も同じ。だから、誰かのモノサシで自分を測られても意味がないし、自分のモノサシで誰かを測っても意味がないと思うんです。
言葉を変えて繰り返し言われてきたことなのかもしれませんが、「みんなちがって、みんないい」を言葉のみではなく実践していくことが、令和の時代では大切になってくるのかもしれません。
また、国内外の音楽事情に詳しい方に、CHAIのアメリカやイギリスでの浸透度合いはどのくらいなのかと聞くと、「日本でいうところの恵比寿LIQUIDROOMが即完売するくらいの熱量」とのことでした。現地の音楽好きの間では、「なんか日本のヤバいバンドがいるらしい」と話題になっているようです。
デビュー当時から海外での成功を目標としている彼女たちは、SXSW(3年連続出場中)でその実力が海外レーベルの目に留まり、アメリカやイギリスでのリリースを実現しています。
「NEOかわいい」などのコンセプトが共感を呼び、多くのファンを獲得してきたCHAIではありますが、何よりも評価されているのが、その圧倒的な音楽性の高さです。CHAIは、影響を受けたミュージシャンとしてフランスのジャスティスやブラジルのCSSを挙げていますが、彼女たちの音楽は、そのどれとも似ておらず独創的です。いわゆる「J-POP」らしくない曲の進行と日本語の響きを生かした歌詞が融合し、中毒性の高いサウンドを生み出しています。CHAIは去年、雨の中の朝霧JAMのライブが最高に楽しかったことが印象に残っています。
「世界で売れなきゃ意味がない」とのことですが、今年のCoachellaで印象に残ったのは、K-POPアーティストであるBLACKPINKと、Perfumeのステージ規模の違いです。
Perfumeも非常に良かったのですが、客入りで彼我の差を見るにつけ、日本と韓国でこうも差がついたものかと思わざるを得ませんでした。
一方で印象に残ったのが、多国籍バンドのSUPERORGANISM。ボーカルのORNOは埼玉出身のまだ10代の日本人ですが、MCも含めて非常に堂々としたステージングでした。
多国籍バンドに単身で飛び込んで着々と世界での存在感を増している様子を見るにつけ、こんなやり方があるのかと新鮮に感じています。
彼女は日本の教育のレールからドロップアウトした人物ですが、CHAIもまた、日本の既成の価値観や常識からは外れた人たちでしょう。
音楽であれ、なんであれ、既成の価値観に囚われない人たちを大切にできるか、邪魔しないか。その懐の深さが世界で通用するものを生み出せるかどうかを決定づける鍵なんじゃないかと改めて感じる次第です。
