[ワシントン 26日 ロイター] - 米商務省が26日発表した第1・四半期の実質国内総生産(GDP)の速報値(季節調整済み)は年率換算で前期比3.2%増と、前期の2.2%増から加速し、市場予想の2.0%増を大幅に上回った。貿易赤字が縮小したほか、在庫が急速に積み上がり、GDPを押し上げた。ただこれらは一時的な要因で、今後傾向は変わる可能性がある。

今年7月には景気拡大期間が10年を超えるが、これは過去最長だ。

トランプ大統領は統計を歓迎、ツイッターに「期待や予測を大きく上回った」と投稿した。

キャピタル・エコノミクスの首席エコノミストは「財政刺激策の効果が薄れて国内景気が鈍化しつつあるという見方をあざ笑うかのような伸びだ。ただ統計を深読みすれば、懸念材料が数多く存在する」と指摘した。

第1・四半期は輸出が急増する一方で輸入が減り、貿易赤字が縮小した。貿易はGDPを1.03ポイント押し上げる方向に働いた。前期はプラスにもマイナスにも働かなかった。米中貿易摩擦を背景に、貿易赤字は乱高下している。輸出業者や輸入業者は報復関税の応酬の影響を抑えるために先手を打とうとしている。

貿易摩擦は在庫にも影響している。在庫は第1・四半期に1284億ドルと、2015年第2・四半期以来の高水準を付けた。前期は968億ドルだった。在庫が積み上がった一因は需要の弱含みだ。自動車部門では特に顕著だった。今後、製造業生産は弱含むと予想される。在庫はGDPを0.65%ポイント押し上げた。前期は0.1%ポイント押し上げていた。

政府支出は2.4%増だった。州・地方政府の支出が伸びた。

米経済の3分の2以上を占める個人消費は1.2%増と、前期の2.5%増から減速した。自動車やその他のモノの消費が減った。35日間続いた政府機関の一部閉鎖が影響したとみられる。サービスの消費も鈍化した。

商務省は、政府閉鎖の影響を完全に数値化することはできないとした上で、連邦政府職員が提供するサービスや、防衛関連以外の機関によるモノとサービスの購入が減ったことで、第1・四半期GDPが0.3%ポイント低くなったとの試算を出した。

機器の設備投資は0.2%増にとどまった。16年第3・四半期以来の弱さだ。農業機械やオフィス家具が弱含んだ。インフラ投資は3四半期連続で落ち込んだ。住宅建設投資は2.8%減と5四半期連続で減った。

18年第4・四半期のGDPは2.2%増で、18年第2・四半期に4.2%増をつけて以降、ペースを落としている。

景気後退に陥る心配はないものの、トランプ政権による1兆5000億ドル規模の減税政策の効果が薄れ、これまでの米連邦準備理事会(FRB)の利上げの影響が残る中で、米経済は鈍化していることがうかがえる。

FRBは最近、3年間続けてきた金融引き締めを停止。今年は利上げしない見通しを示している。18年は4回利上げした。

エコノミストらは今年のGDP成長率が2.5%程度で、トランプ政権が掲げる目標の3%に届かないと予想する。

民間最終消費が1.3%増と、13年第2・四半期以来の弱い伸びにとどまった。FRBが物価の目安とする変動の大きい食品とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数は1.3%上昇した。

来週の連邦公開市場委員会(FOMC)は、GDP成長率の加速よりも弱い内需やインフレ動向に注目するとみられる。

RSMの首席エコノミストは「FRBは、鈍化トレンドやインフレ軟化を示す成長の中身に焦点を当てるだろう。今回の統計を受け、慎重に様子見する姿勢が強まりそうだ」と話した。

JPモルガンのエコノミストは「消費支出の勢いが第1・四半期末に向けて加速し、第2・四半期の改善へ良い兆候となった。それでも、同四半期の成長率は2.25%に減速すると引き続きみている」と語った。

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