【落合陽一×永田暁彦】テックベンチャーをアップデートせよ

2019/4/26
毎週水曜夜10時からの『WEEKLY OCHIAI』。4/24のテーマは「テックベンチャーのアップデート」。永田暁彦さんをゲストにお迎えし、日本の研究開発型ベンチャーについて議論しました。
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生物的制限から解放され、愛と好奇心へ

この日のWEEKLY OCHIAIは、ユーグレナ取締役副社長COOであり、リアルテックファンド代表を務める永田暁彦さんをゲストにお迎えし、テックベンチャーについて議論した。
研究開発型ベンチャーを取り巻く課題、そしてリアルテックが浸透した世界とは──。

儲かる技術と社会的価値のギャップ

永田 テックベンチャーにお金が集まりやすくなってますけど、理由はシンプルで、儲かると思ってる人が増えている。
でも、儲かる技術って、社会的価値とギャップがあることが多いんですよね。
例えば、ITベンチャーみたいに、最後自分が使うユーザーになるものは分かりやすい。メルカリをどう使うかって、みんな分かってますよね。
永田暁彦(ながた・あきひこ)。ユーグレナ取締役副社長COO/リアルテックファンド 代表。独立系プライベートエクイティファンド出身。2008年に株式会社ユーグレナの取締役に就任。ユーグレナにおいては、事業戦略立案、M&A、資金調達、資本提携、広報・IR、管理部門構築、東証マザーズ・東証一部上場など、技術を支える戦略、ファイナンス、管理業務分野を担当し、当該領域に精通。リアルテックファンドでは、代表としてファンド運営全般を統括する。VC「リアルテックファンド」の代表も務める。
超ひも理論の会社に投資しましょうと言って、いいねという人は多分いないんですよ。でも、どこでもドア作りましょうと言ったら、いいねという人が増える。
今、お金が集まっているのは分かりやすいか、分かりやすく仕向けたところ。
本質的な価値と見え方のギャップが埋まらない限り、研究史的な価値とか、社会的インパクトが高くなるものに、お金が集まらない。

成功要因は技術でなく、チーム

落合 体験価値に集まらないリアルテックを、体験価値っぽく、流行りのキーフレーズにのせたりして、上手く伝えるのが大切。
でも、上手く伝えられるプロは生まれてきた。お金が集まらないというのが、ノックアウトファクターで無くなってきている。
永田 テックベンチャーの成功要因は、確かにお金が集まるかどうか以上に、人が集まるか。
落合 チームが大体組成出来ないんですよ。そこが突破出来ずに、死蔵される技術は多い。
落合陽一(おちあい・よういち)。1987年東京都生まれ。筑波大学 准教授・学長補佐 デジタルネイチャーグループ主宰。ピクシーダストテクノロジーズ代表取締役。
永田 超納得です。僕ら投資要件があって、技術じゃないんですよ。チームって決めている。
なぜかと言うと、一つが日本は技術で溢れてる。だから、技術に投資する感覚ないんですよ。
技術を握らせた時に、社会変えちゃう人、社会と戦っていける人に投資をする。
友人でも部下でも何でもいいから、一人二人を納得させて、チームに入れられない人は、世界70億人に対しても、メッセージを発せられない。
そこは最低限、つくる努力を絶対しよう。
そこから僕たちも一緒に併走できる。一歩目を越えられないと、僕達も最後まで走られない 。

課題ドリブンでなきゃダメ

永田 大学発ベンチャーが大体陥ちるのは、解決したい課題じゃなくて、今やってる事を外に出したい人が多すぎる。
落合 創ったものあるから、誰か使ってくれ。5000回くらい聞くやつ。
永田 そうなんですよ。これ、めちゃくちゃ良いんですけど、どうですかみたいな。
それが起こると何があるか。基本的に世の中の課題からスタートした人は、解決できる手法論にピポットしていくんですよ。
でも、技術からスタートした人って、解決するテーマをピポットしようとしていく。
そうすると、解決していくテーマって、どんどん矮小化していくんですよね。
だから、僕たちは技術ベンチャーだけど、課題ドリブンじゃなきゃダメだと思ってる。そこの思いとか前提を持った人がすごく少ない。

白衣と作業着がカッコいい世界

永田 世の中を変えたい時に、すごく大切なのが、変な表現すると「モテる」こと。人の欲求の源泉に、やっぱりそういうものがある。
さっき、人が集まることが大切って言ったじゃないですか。30代の一部上場の経営者で、サイエンスやってるのって、僕たちだけなんですよ。
全員、ITかコンサルか金融。正直言えば、優秀な人間がそこに集まってるんですね。
例えば、 Googleで働いてる人って、カッコいいし、お金持ってるってイメージですけど、20年前30年前考えたら、ただのオタクじゃないですか。
だけど、オタクが変換されたって、ものすごく意味がある。それによって、優秀な人間はどんどん集まる。
僕は今、リアルテックを「白衣と作業着のクーデター」だって言ってる。白衣を着てることがカッコいいとか、作業着を着てることがカッコいい世界に絶対変えられる。
そうなると、もう1回波が起こり始める。パッションとお金と人が掛け合わさり始める。

植えつけられた煩悩からの脱却

番組冒頭から、白熱した議論が進んでいく。
投資の意味と価値をどう変えていくか
経営が楽しいのは冒険の側面があるから
リアルテックが浸透した未来
熱量と気づきに溢れる議論は、本編にて。
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次回は「令和元年SP」

令和初日5月1日は、ゲストを3名お迎えします。
<ゲスト一覧(順不同、敬称略)>
宮台真司(社会学者)
田原総一朗(ジャーナリスト)
西田亮介(東京工業大学准教授)
また、「WEEKLY OCHIAI」シーズン2 最終回となります。
NewsPicksアカデミア会員の皆様は、下記のページより、番組観覧にお申込みいただけます。(先着40名)
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<執筆:潘嘉敏、デザイン:片山亜弥、潘嘉敏>