(ブルームバーグ): 国内証券最大手の野村ホールディングス(HD)は25日、前期(2019年3月期)の純損益が1004億円の赤字に転落したと発表した。前の期は2193億円の黒字だった。この結果を踏まえ、野村HDや傘下の野村証券の取締役、執行役に執行役員を加えた計約60人を対象に、業績に連動する役員賞与をゼロにすることも明らかにした。

米リーマン・ブラザーズなど海外企業の「のれん」巨額減損に加え、債券トレーディングや投信販売も不調だったことが響いた。野村HDが通期で純損失を計上するのはリーマン危機があった09年3月期以来10年ぶり。

同日会見した北村巧財務統括責任者(CFO)は「営業部門やホールセール部門を中心に本業が振るわず、のれん減損なども重なり極めて不本意な決算となった」と総括。一方で、4月以降は営業部門とホールセール部門はともに回復傾向が見られるとも語った。

赤字転落となったことで、役員報酬のうち賞与に当たる部分をゼロにすることを決めた。野村HD、野村証券の取締役と執行役はもともと賞与を支払っていない社外役員を除いて計18人。広報担当の山下兼史氏は、このほかに執行役員も対象になっていると述べた。有価証券報告書によると、18年3月期の野村HDの社内取締役・執行役10人の基本報酬を除く賞与分は計10億9900万円だった。野村証券は役員賞与を開示していない。

前期は「のれん」の減損814億円の計上や米司法省との和解金198億円などの一時費用がかさんだ。また、長引く低金利に加え、日経平均株価が昨年12月後半に1年3カ月ぶりに2万円の大台を割り込むなど下期に市場環境が悪化。債券トレーディングや投信販売が振るわなかった。期末配当は1株当たり3円(前年同期は同11円)とした。

 19年1-3月期の純損益は前年同期比96%減の8億4400万円の黒字だった。四半期ベースでは3四半期ぶりに黒字転換した。営業部門の税引き前損益は前年同期比85%減33億円。資産流入を受けて運用資産残高が拡大したアセット・マネジメント部門は同28%増の144億円だった。一方、ホールセール部門は130億円の赤字(前年同期は442億円の黒字)。リストラ費用として84億円を計上したことなどが響いた。 

海外拠点の税引き前損益は、米州が37億円の赤字(前年同期は260億円の赤字)、欧州が255億円の赤字(同9億円の黒字)、アジア・オセアニアが87億円の黒字(同64億円の黒字)だった。海外合計の赤字額は205億円(同187億円の赤字)と5四半期連続の赤字となった。

(執行役員も賞与ゼロの対象となることを加えて記事を更新します.)

--取材協力:Takashi Fukami、浦中大我.

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