【人生100年時代】32歳のJリーガー誕生物語

2019/5/3
思わず、耳を疑った。
「慎吾さ、Jリーガー目指さない?」
声の主は、サッカー日本代表・長友佑都。
2018年9月、トルコの夜は静かだった。イスタンブールのマンションの一室。専属マネジャーとして長友の自宅に同居していた近藤慎吾は、夕食を終えたばかりのダイニングでその言葉を聞いた。
その瞬間を、近藤は今でも鮮明に思い出せる。
「へっ?」って返しました。何を言っているんだ、と。
当然のリアクションである。その時、31歳。引退の平均年齢が25歳前後と言われるプロサッカーの世界に30歳を超えて飛び込もうなど、思い描くことすらむちゃな話だ。
しかし、“あの夜”から約半年後、男はJ2・水戸ホーリーホックの選手としてボールを追いかけている。
32歳でJリーガーになる──。異例のキャリアを切り開く男の物語に迫る。
大学で自ら断ったプロへの道