[ワシントン 13日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)の国際通貨金融委員会(IMFC)は13日、貿易摩擦や金融状況の引き締まりが、減速傾向にある世界経済に対する主要なリスクだとする共同声明を採択し、各国に成長支援を促した。

共同声明では、世界経済は来年に持ち直す可能性が高いが、中央銀行や財政当局は回復を後押しする政策の選択肢が限られていると指摘した。

IMFC議長のクガニャゴ南ア中銀総裁は会合後の記者会見で「成長は来年上向くと予想しているが、貿易摩擦や地政学リスク、政情不安などが課題だ」と指摘。「成長を保護するため早期に行動する必要があるとの見解で一致した」とし、「たとえば財政政策は柔軟性や成長を支える姿勢を維持し、バッファーを再構築するとともに、債務の持続性と需要支援の適切なバランスをとる必要がある」と述べた。

一部の当局者は、日米欧など先進国の減速が悪化すれば世界経済の回復見通しが不透明になると警戒感を示した。

一方、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁はこれとは別に、欧州では成長の重しになっている世界的な要因の多くが和らぎつつあるようだとし、今年後半にユーロ圏経済が回復する可能性は依然としてあるとの見解を示した。

ただ、英国の合意なき欧州連合(EU)離脱や世界的な貿易戦争のリスクなど、信頼感を損なう要因は引き続き大きく立ちはだかり、成長を脅かしているとも警告した。

<貿易摩擦>

IMFのラガルド総裁は米中貿易摩擦について「両国間で取引されている5000億ドルに関税を適用すれば、世界の成長0.8%をリスクにさらしていることになる」と指摘した。

中国人民銀行の陳雨露副総裁は「一部の国の保護主義が国家間の相互信頼に害を及ぼし、多国間協力の可能性を低下させると同時に、多国間協力への意欲を阻害している」と批判した。

15日から米国との通商協議を始める日本も国際貿易の現状に懸念を示した。麻生太郎財務相は、貿易摩擦や政策の不透明感が長引けば、民間投資が損なわれ、世界のサプライチェーンに混乱が生じるほか、生産性の伸びが低下し、世界経済に深刻なリスクをもたらすと述べた。