【トロント大教授】先進国の介護を担う、開発途上国の悲劇

2019/4/14
ILO(国際労働機関)が、注目している成長分野の1つが「ケア・エコノミー」だ。
「ケアエコノミー」とは、子どもの保育や高齢者の介護、教育など、人のケアをするための労働を指す。
元来、ケアは家庭内で無償で行われることが多かった。
しかし、高齢化社会や人手不足により外部化されるようになり、特に先進国では、移民労働政策によりケアを開発途上国の人材に委ねる傾向が高まった。
反面、トロント大学教授のイト・ペン氏によると、先進国の人のケアを、開発途上国の労働力に頼ることにより、別の問題が生じているという。
移民労働する母親が自分の子どもを養育できない、という問題だ。
ペン氏に、人材のグローバル時代に移民を受け入れる、先進国の責任を聞いた。
Ito Peng(イト・ペン)/Global Social Policyカナダ研究所所長、トロント大学社会学部教授、国際社会政策センター長
政治社会学および公共政策をトロント大学で教える。東アジアの介護ケアに関する社会政策と政治経済について精通し、講義や研究内容もそれぞれの国におけるジェンダーや家族、社会政策、雇用、そして移民政策の比較に焦点を当てている。2017年には共著の『Gender, Migration and the Work of Care: A Multi-Scalar Approach to the Pacific Rim』を出版。
経済学者たちが注目
──そもそも、ケアエコノミーとは何か。ペンさんの定義を教えてください。
ペン 今の世代、そして次の世代に対する養育、養護に携わるすべての労働や活動のことを、ケアエコノミーと呼んでいます。
例えば、小さな子どもの保育、高齢者や障害のある人の介護やサポートなどが挙げられます。また、教育なども含まれます。
さらに、直接的に人をケアする活動だけでなく、間接的に人をサポートする家事なども、ケアエコノミーです。
報酬のある労働だけでなく、親の介護などの無償の活動も入ります。
※ペン氏提供の資料を元に、NewsPicks編集部で作成
今、多くの経済学者がケアエコノミーに関心を持っています。
──なぜ、ケアエコノミーは経済学者に注目されているのでしょうか?