中国で自動運転バスに乗って判明! AI覇権争いでグーグルは負ける
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「バイドゥの自動運転バス中国21ヶ所運用及び昨年7月からの量産化」「中国新興EVブランド、バイトンの先進的な上海ショールーム展開」「EV大国深センの衝撃」などから構成された記事です。
バイドゥは、今年のCES2019において、「昨年から自動運転バスを中国の21ヶ所で運行している」、「すでに昨年の7月から自動運転バスの量産化に入っている」などの発表をブースで行っていましたが、3月の北京出張では実際にその自動運転バスに乗ってきました。
また4月の深圳出張では、「EV大国深センの衝撃」に接しました。今回の出張で驚いたことの一つは、中国のシリコンバレーとも呼ばれている人口1200万人の大都市、深圳において、タクシーのほとんどがEV車となっていたことです。
深圳交通運輸局では、本年1月に2万1000台を超えるタクシーの99%がEV車となったことを発表していますが、実際にも出張中に見かけたのは深圳に本社を構えるEV車及びEV用バッテリー企業であるBYDのEVタクシーばかり。
ようやく見つけた、それ以外のタクシーの写真を撮ったところ、同タクシーは日本車。
日本車が中国車に置き換わっているという事実が、日本にとっては最大級の「深圳EV大国の衝撃」でした。
ちょうどその日にHV特許の無償開放を発表した同日本メーカー。
日本や日本企業の活路はどこにあるのかを考えさせられました。
自動運転車は中国メガテック企業の進化の一例に過ぎません。
企業の進化の状況をリサーチ、分析し、日本や日本企業の活路を探っていくことが微力ながらも自分自身の本分であると考えておりますが、そんな使命感を新たにする出張でした。
お時間許す際に写真も満載の記事をお読みいただければ幸いです。個人的にはEVの話と自動運転の話は、現象として分けて見ている。
EVは実際とてつもない勢いで導入推奨されていて、2020年までに半数近くEVにするために、EVを買った方が得をするような政策を出しながら、トップダウンでガラリと変えてくる。
例えば中国ではナンバープレートの取得が大変だったり、運転できる曜日が限られたりするが、EVだとプレートを簡単に取得できたり、運転制限がなかったりする。(複雑なので詳細は以下)
https://gazoo.com/article/daily/180514.html
自動運転はというと、数カ所「自動運転区」という試験運用区域があるが、EVに比べて市場投入の遠さを感じる。北京近郊の雄安新区も一般の人が住む街というより完全に自動運転のための街で、そういう街を作ること自体は凄いが普通の街ではない。
BYTONの自動運転カーも、市場投入は2年以上後の予定としているし(それでも早いかもだが)、実際中国の運転事情を見ると、2車線変更当たり前、複数方向から入り乱れながらバランス取って牽制し合いながら車線を奪い合う状況からするとしばらく不可能で、自動運転を謳ってるのはBYTONくらい。
AIにおいて中国が勝っていくのは、その通りだと思う。OMO提唱者の李開復が新著で示す通り、圧倒的なデータ量、及び緩めなプライバシーを背景にしたデータのコネクティビティは、中国にしかない環境だし、実戦投入の速さによってリアル空間への侵食も早く、OMO化されやすい。この部分がより本質的な中国の強みかなと思うし、それを加速しているのは確かに中国政府の規制コントロールだろうと思う。実証レベルの事業を量産でやってしまうという離れ業。かつて大規模実証事業を行って世界から「どういうこと?」と疑問視されたエネファーム事業もありましたが、こちらは人命が関わります。1年半前に聞いた話では、その時点で既に死亡事故もちらほらあったようですが、中国ではバス事業は国営なので、大きな問題に発展しません。
中国のEV用電池は大型だが高寿命のリン酸鉄系が中心だったこともあり、バス用途に向いています。国内石油消費を減らすためにも、政府としてはEVバスに力を入れるわけです。また、バスドライバーに対する信頼確保が難しいという事情もあり、自動運転化しやすいとも言えます。
世界に先駆けてリスクを取っているから、AI覇権争いで有利かといえば、必ずしもそうとも言えないとは思います。むしろ技術よりもビジネスとしての競争力の方が脅威でしょうね。