「新製品」が必要。猪瀬直樹が考えるNewsPicksの課題

2019/4/13
4月9日に放送された『The UPDATE』では「NPは令和時代に天下を獲れるか?」と題して、作家の猪瀬直樹、産業医で初期からプロピッカーを務める大室正志氏、Business Insider Japan統括編集長の浜田敬子氏、元『ビス』編集長の中群暖菜氏、NewsPicks編集長の金泉俊輔の5名をゲストに迎え、NewsPicksの課題やこれからのあり方について議論を交わした。
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この日はNewsPicksのコンテンツの偏り、そして「そもそもメディアが天下を獲るというのは、どういう意味か?」という定義に至るまで、忖度なしのバトルが繰り広げられた。
番組の最後に古坂大魔王が最も優れていた発言として選ぶ「King of Comment」は、猪瀬氏の「新製品を出す」という提案に決まった。
厳しい意見が多く交わされ、コンテンツの偏りやテーマ設定の古さなども指摘されたNewsPicksだったが、これから「新製品」を出すためには具体的にどのような取り組みが必要だろうか。放送直後、猪瀬氏に伺った。
結局「中身」は旧来の価値観に迎合
その日の議論は、番組冒頭、猪瀬氏の「この番組自体、台本やタイトル、オープニングに至るまで、結局地上波の番組を意識しているよね。それは迎合していることと同じだよ」という指摘から幕が上がった。
怒りはディレクターに直接向かう。
「僕が言っていることわかる?」
このときのディレクターの反応に対し、放送後も猪瀬氏は苛立ちを隠せていなかった。
猪瀬 あのとき平謝りされたけど、それだけでは、本当に何がわかったのか分からない。「すみませんすみません」と謝るばかりで「なんか怖いおっさんに絡まれてるな」くらいだったんじゃないかな。
実は、今日の番組の打ち合わせで台本を渡されたとき、がっかりしました。
NewsPicksの「天下を獲る」という気概はいいけど、それを発信するために地上波のようなプロレス的な番組を作っているのは、価値観が毒されている証拠だよね。自分たちで新しいことをやろうとしていない。
NewsPicksはピッカーなど未来を先取りするようなシステムを採用したわけだから、中身だって新しいものを目指さないといけないと思う。
「天下を獲る」と言っているのに、地上波や雑誌のビジネスモデルを踏襲している限り、旧世代のメディアが担っていた役割を任せるような気にはならないでしょう。
NewsPicksには「今までのスタイルではないもの」を追求することを、全身でしてほしい。見せ方だってそうだし、言葉の選び方一つとってもそうです。
新製品の生まれるプロセスは「論争」の中にある
新世代のメディアがこれからの時代を担っていくためには「新製品」が必要だ、と猪瀬氏は番組内で繰り返し唱えた。
これは現在連載しているイノベーターズライフでも度々登場する言葉で、猪瀬氏は作家として文学史における「新製品」を生み出すことに全力を注いできた。
では、企画の時点で「新製品」とは程遠いものを考えてしまう現状のNewsPicksが、新たな時代に対するアンテナを高めるためには、何が必要だと考えるのか。
【新】近代を問い続けた男。作家・元都知事、猪瀬直樹の人生
猪瀬 「まずは、ぶつかることが必要。最近の世代は「怒られないようにしたい」という気分が強すぎるように見える。僕が22歳の頃は、教授とだって対等に論争をしていました。
でも、そこから問題意識は芽生えるし、結果として作品のテーマ設定もそこから生まれ、自分が作家になるきっかけにもなりました。
論争になるためには、ある程度自分の中で問題意識や仮説というものがないといけない。そういった問題意識や仮設も、真剣勝負でぶつかり合う中で生まれるものです。
たとえば今日ディレクターが「猪瀬さんはなんでそう思うんですか?」と僕に疑問を呈することがあれば、そこから新たな課題や仮説が生まれたかもしれない。ただ謝ってるだけじゃ何も生まれないでしょう。」
新製品の生まれるプロセスは「論争」の中にこそある。猪瀬氏にとって「論争」とは「意見を持ってぶつかり合うこと」であり、それは生産性のあるコミュニケーションだ。しかし、あのときのディレクターは猪瀬氏の言うことがもっともだと思ったから、ぶつからずに謝ったのかもしれない。
猪瀬 「たとえば自分が誤っていると思っても、そこで「はい、わかりました」と謝るだけでは、何が分かったか分からないでしょう。 必要なのは、ファクトの共有です。「どういうことで間違えました」と言えることが大事です。
昔の軍隊では兵隊が命令や犯した間違いについて復唱していました。なぜだと思いますか。 それは二度同じミスを繰り返したら、軍隊が全滅してしまうかもしれないからです。間違えたら、自分も仲間も命を落とす可能性がある。
ビジネスにリスク管理は大事なはずなのに、切迫感を持った人は少ないですよね。ぼんやりしてたら、会社だって倒産してしまいますよ。
次回のテーマは「SNSの未来」
4月16日(火)のテーマは「SNSの未来」。
承認欲求を満たすためのSNSは今後どうなっていくのか。豪華ゲストと多面的に議論します。
<執筆:園田もなか、デザイン:斎藤我空>