〈斜断記〉平時はどこへ行った?
2014/04/03, 日刊自動車新聞
リーマンショック、2度のエコカー補助金、東日本大震災、そして消費増税―。少し数え上げてみただけでも、自動車市場が大きく振れる出来事が頻繁に起きていることが分かる。平穏無事な期間はごくわずか。来店客が引きも切らないような猛烈な需要の盛り上がりがあるかと思えば、潮が引いたように閑散となる。近年の新車ディーラーの経営は、常にそうした外部環境の激変にさらされている。
これは何かに似ている。そう、猛暑の夏が過ぎれば秋もそこそこに厳冬に突入する最近の日本の気候を思い起こさせるのである。暑さ寒さのほかにも突拍子もない竜巻が襲ったり、観測史上最高の大雪が降るなど、落ち着かないことこのうえない。
ディーラーは慣れもあるのだろう、ちょっとやそっとの状況変化には動じない。むしろ、反動減で新車の販売が落ち込む時期にはサービス、中古車、保険、割賦などで売上増を図り、経費を切り詰めて収支の悪化を防ぐ術を身につけ、それを筋肉質な体質に結びつけている。厳しい環境をうまく活用している。
そうした体質強化が進んだところに、リーマンショック前の好況時をも凌ぐ569万台という需要が出現した。2014年3月期のディーラー決算は、最高益が続出する見込みだ。年販1万台から2万台の有力ディーラーで10億円から30億円、スーパーディーラーならば50億円以上の経常利益になると見られる。
もっとも、これから先は数々のハードルが待ち構えている。売上面では、当然ながら消費増税と需要の先食いによる新車販売減がある。経営安定化の要であるサービスも、3年目、5年目の車検到来台数が減る。経費面では、モータリゼーションに合わせて建設された店舗が老朽化し、耐震補強の意味からも建て替えを迫られている。人材投資も欠かせない。そして、最終的な課題は人口減と少子高齢化対策だろう。(一)
Copyright (c) 2024 Nikkan Jidosha Shimbun. All Rights Reserved.
プレミアム会員限定の記事です
今すぐ無料トライアルで続きを読もう。
オリジナル記事 7,500本以上が読み放題
オリジナル動画 350本以上が見放題
The Wall Street Journal 日本版が読み放題
JobPicks すべての職業経験談が読み放題
コメント
今日のニュース
- 1415Picks