[ニューヨーク 5日 ロイター] - 今週の米株式市場では、銀行決算に注目が集まる見通し。12日のJPモルガン・チェース<JPM.N>、ウェルズ・ファーゴ<WFC.N>を皮切りに、15日のシティグループ<C.N>、ゴールドマン・サックス<GS.N>、16日のバンク・オブ・アメリカ<BAC.N>、モルガン・スタンレー<MS.N>と続く。

米経済には伸び悩みの兆候がみられ、10年債利回りは低下、イールドカーブがフラット化している。米連邦準備理事会(FRB)はハト派姿勢に転換した。

リフィニティブのデータによると、S&P総合500種指数採用の銀行の第1・四半期決算予想は2.3%の増益と、半年前の8.2%増益から下方修正されている。

ホライゾン・インベストメント・サービシズのチャック・カールソン最高経営責任者(CEO)は「金利は横ばい、もしくは低下している状態で、これは銀行の利ざやにとって朗報とは言えない。アナリストが利益予想を下方修正するのは驚きではない」との見方を示した。

S&P総合500種指数<.SPX>は第1・四半期に13.1%値上がりしたが、金融株<.SPSY>は7.9%上昇と伸び悩んだ。

S&P総合500種指数採用企業の第1・四半期決算は、前年同期比2.2%の減益となる見通し。第1・四半期決算が減益となるのは2016年以来。昨年10月時点では8.1%の増益が予想されていた。

1月の連邦政府機関の一部閉鎖やトレーディング収益の減少予想も、銀行決算への期待値を下げる原因となっている。

KBWのリードアナリスト、ブライアン・クラインハンズル氏は、銀行決算について、株式とFICC(債券・通貨・商品)のトレーディング収益が第1・四半期に中央値でともに15%減少すると予想している。

一方、FRBのハト派姿勢やイールドカーブ・フラット化の影響が過大視されていると指摘するアナリストもいる。

オッペンハイマーのリードアナリスト、クリス・コトウスキ氏は「確かに金利や利回りは銀行の業績に影響を及ぼしている」としながらも、FRBの決定に伴う影響は「ささいものだ」であり、そうした影響を除けば「銀行のファンダメンタルズは非常に安定している」と指摘している。

最近の事例を振り返ると、米大手金融機関の決算は、市場全体に比べてアナリスト予想を上回る傾向が強い。過去8四半期では大手6行が平均83.3%の確率でアナリストの利益予想を上回っている。S&P総合500種指数の採用企業の平均は75.4%だ。

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