【潜入】料理界の特殊部隊。ケータリングシェフの華麗な活躍

2019/4/10

1400皿の調理も「楽勝」

2011年6月1日の夜、フードライターのマット・リーとテッド・リー(2人は兄弟)は、ニューヨークのグリニッジ・ビレッジにある有名レストラン「ジェームズ・ビアード・ハウス」を訪れていた。兄弟と同じ南部出身の友人である、シェフのスティーブン・サッターフィールドのサポートに入るためだ。
「ジェームズ・ビアード・ハウス」では、ゲストシェフが入れ替わりで腕を振るっている。運営するのは、アメリカの料理界に多大な影響を持つジェームズ・ビアード財団。偉大な料理人であったジェームズ・ビアードが住んでいた1840年代のタウンハウスをそのまま使用している。
このレストランは、ビアード財団に腕前をアピールしたいシェフにとっては格好の舞台だが、調理をする場所としては最悪だ。
キッチンは狭くて蒸し暑く、下ごしらえのスペースもごく限られている。影響力のある客の前でミスでもすれば、デザートを提供する前に、シェフの評判が地に落ちるおそれもある。
グリニッジ・ビレッジにあるジェームズ・ビアード・ハウス(G. Paul Burnett/The New York Times)