(ブルームバーグ): カルロス・ゴーン被告が逮捕される2カ月前の昨年9月、日産自動車の会長だった同被告と西川広人社長は仏ルノー、三菱自動車との連合(アライアンス)に新たな1社を加えることを検討した。西川社長がゴーン被告に送付した電子メールで明らかになった。
昨年9月の時点では、ゴーン被告にはアライアンスを「不可逆的」にするよう求める圧力がかかっていた。ブルームバーグが閲覧したこの電子メールによると、ゴーン被告の求めに応じて西川社長は昨夏の間「静かに独力で」、「双方が受け入れ得る」構造を見つけようと取り組んでいたという。西川社長は同メールでゴーン被告と幾つかの可能性について話し合いたいと申し出た。
西川社長は同メールで、アライアンスの4社目のパートナーとして自動車メーカー1社を加える可能性を提起したが、具体的な候補は挙げなかった。ただ、拡大の機会には、電気自動車ないしコネクテッドサービスに向け「中国企業の買収」も含まれると記した。
この電子メールにより、アライアンスの先行きに関するゴーン被告と西川社長の部外秘の議論が明らかになった。西川社長は社内では完全合併に反対し、日産は独立を保つか、ないしは統合が深化する中でも支配的立場を保持すべきだと主張していた。同社長は日本経済新聞との昨年4月のインタビューで、日産は3社連合を維持したいと語った。
日産広報担当のニコラス・マックスフィールド氏は社内文書の中身について否定や肯定、コメントはしないと話した。また、ゴーン家やルノーの広報担当もコメントを控えた。
西川社長は同メールで、「待つよりも」アライアンスの構造を2019年に改革するよう助言した。この7カ月前、ゴーン被告は、ルノーの筆頭株主であるフランス政府から日産との提携強化を求められたことを受け、アライアンスの強化を明言していた。
社内からの抵抗
しかし、提携強化への動きは日産社内からの抵抗に遭った。ルノーの日産持ち分比率が43%であるのに対し、日産のルノー持ち分比率は15%と偏りがあり、日産はルノーが支配力を一段と強めることを恐れていた。両社の提携関係はゴーン被告の11月の逮捕で一段と緊張した。
西川社長がメールで4社連合への拡大を提起したことは、自動車業界が多額の投資を必要とする電気自動車や自動運転車にシフトする中で、自動車メーカー各社が成長への圧力を受けていることを浮き彫りにしている。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は先週、ルノーが日産との合併交渉を1年以内に再開することを目指しており、さらにフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)などの買収を模索すると報じた。
西川社長は3月28日のブルームバーグの取材に対し、ルノーが日産との統合交渉再開を目指しているとのFT報道について、「そのような話はない」と発言。ルノーはコメントを控え、フランス政府は同報道を重要視しない姿勢を示した。原題:Nissan CEO, Ghosn Mulled Fourth Partner for Alliance, Email Says(抜粋)
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