ZARAとH&Mの格差は縮まらない
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しっかりした数値分析と、要因を結びつける業界知見。ファストファッション分析の保存版という感じの記事でした。大まかに言えば、効率性を落とさず順調に成長しているインディテックスに対して、H&Mは粗利率、商品回転、店舗効率と、効率性で重要な指標を軒並み落としてきており、盲目的な拡大に見えます。
この辺りまでなら数字を見れば言えることですが、各社のECへの取り組み状況、商品の調達方法ミックス、物流ポリシーの違いとそれが数字に与える影響がしっかり結び付けて分かりやすく解説できるのがこの分野で第一人者であり続ける小島氏のすごみだと改めて感じる内容でしたZARAのサプライチェーンマネジメントがイケていることは何年も前から立証されているが、競合他社は真似できないのか?
H&Mやユニクロなど一般的なファストファッションのサプライチェーンは「川上志向」で以下の流れ
開発➔製造➔物流➔販売
ZARAは「川下志向」で以下の流れ
開発←製造←物流←販売
H&Mなどの方針は、トレンドを予測し、大量仕入れ、大量生産で、生産効率を最大化させることで、固定比率を下げる。
大量に仕入れれば仕入れコストは下がり、生産ラインを最大利用すれば生産コストは下がる。
ただし、トレンドが的中し売り切ることが前提。概ね売れ残りセールで処分する流れとなる。
顧客はセール待ちとなり、定価では商品が売れにくくなるスパイラルに陥る。
ZARAは販売店に多種少量をラインナップし、売れ線のみを大量生産する。
販売店には長期間陳列せず、速い店舗では2回/週、商品を入れ替える。
顧客心理は「気に入ったらすぐ買わないと売り切れる」「来店すれば必ず新商品がある」で、来店回数はおのずと増える。
トレードオフとして、大量の新デザインが必要。大量仕入れや計画生産によるコスト最小化が困難。販売から製造まで一貫した情報共有システムが必須。
真似は容易じゃない。H&Mはコストリーダーのポジションをプライマークにしれっと奪われてしまって、中途半端なポジションで迷走しているのかと。
また、業界では消化率重視の高速QR型と仕入原価率重視の最安地生産型が顕著に別れてきていて、後者のタイプはH&Mに限らず苦戦している印象。
国内の大手アパレルもほとんどが後者のビジネスモデルで、とにかく仕入原価を叩く事しか脳がないので、そのしわ寄せは商品のチープ化に繋がっている。
今後、プラットフォーマーの製造小売業化(D2C)が進めば、データを活かした高速QR型の供給がさらに増えると思われるので、その差は益々顕著になるでしょうね。