【安田純平拘束事件】解明された事実と残された謎を追う

2019/4/21
2018年10月24日。
「安田純平氏が解放された」というニュースが日本を駆け巡った。安田氏は、2015年から3年以上、シリアで拘束されていた。
そして、帰国してから約一週間後の11月2日、安田氏は記者会見を開き、拘束された経緯や拘束中の出来事を詳細に語った。
安田氏が持ち帰ってきた3年半分の情報は、他の戦場ジャーナリストが安全に取材を敢行するための知見や、外交の場面で使えるカードになるだろう。
そこで、NewsPicks編集部は、安田氏にシリアへ赴いた理由や拘束期間中の出来事を、改めて聞いた。そして、同じフリージャーナリストである常岡浩介氏と共に、判明した事実と残されている謎を整理していった。
また、多くの日本人が知らない、海外のインテリジェンス機関の事情や、シリア内戦への対応についても解説してもらった。

安田純平がシリアを訪れた理由

──安田さんがシリアに入国されたのが2015年。なぜ、取材しようとしたのでしょうか。
安田 日本を出発したばかりの頃は、まだシリアへの入国を決めておらず、トルコなどで情報を集めていました。
そのころ、シリア北部のイドリブ県で、反政府側がイドリブ市やジスル・アッシュグール市などを政府側から奪い、支配地域を広げているという情報を得ました。