【現地発】地味にスゴい、グーグルの「新ロボット研究所」

2019/3/30
単純構造のロボットに勝機あり
グーグルがかつて取り組んでいたロボット開発プロジェクトは、革新的ではあったが、多くの問題を抱えていた。主導役の幹部がセクハラ疑惑で退社したこともあって、プロジェクトは数年で頓挫した。
しかし、いまや同社はロボット開発の方向性を変え、静かに新たなプロジェクトを進めている。
グーグルがロボット開発に着手したのは2013年のこと。以来、同社は数千万ドルを費やして、日本とアメリカのロボット関連企業6社を買収してきた。
このプロジェクトのなかには、見た目も動きも人間に近いロボットの開発を専門とする2つのチームがあった。プロジェクトを主導していたエンジニアリング担当副社長のアンディ・ルービンは、開発中のロボットをSF映画『ブレードランナー』にちなんで「レプリカント」と呼んでいた。
だが、壮大な夢は実現しなかった。
数年後、グーグルは買収した企業を一部売却し、残りは閉鎖した。最も有名なボストン・ダイナミクスは日本のソフトバンクに買収され、現在も人間や動物のような動きをするロボットの開発に取り組んでいる。ルービンはセクハラで告発された後、2014年にグーグルを去った。
グーグルは複雑なロボットに焦点を当てるそれまでの方向性を再検討し、チームを再編した。現在、彼らが取り組んでいるのは、ルービンが夢見ていた人間型ロボットよりも、はるかに単純な構造のロボットだ。
(Brian Dawson/The New York Times)