[ウェリントン 27日 ロイター] - ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は27日、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を過去最低の1.75%に据え置くことを決定した。また、景気見通しの下振れリスクが増したため、次の政策変更は利下げの可能性が高いとの見方を示した。

金利据え置きは予想通りだったが、次の動きについて利下げに力点を置く姿勢に転じたことは市場にとってサプライズとなった。これを受けてNZドルは2週間ぶりの安値を付けた。中銀は前月に示した見通しで2021年序盤の利上げを示唆していた。

キーウィ銀行のシニアエコノミスト、ジェレミー・カウチマン氏は「為替動向次第で、5月に25ベーシスポイント(bp)、8月に追加の利下げがあると予想する」と話した。同氏はこれまで、2021年に入るまで金利が据え置かれると予想していた。

中銀の姿勢の変化を受けて、NZドル<NZD=D4>は政策決定発表前の0.69米ドルをやや上回る水準から1米セント余り下げ、0.68米ドルを若干下回る2週間ぶりの安値を付けた。

国債先物も急上昇し、利回りは過去最低を更新。短期債先物<0#NBB:>は少なくとも25bpの利下げを織り込む水準となった。

オア総裁は「世界経済見通しの弱まりと国内支出の失速を踏まえると、次のOCRの方向性は下向きの可能性が高い」と説明した。

前回の声明でオア総裁は、2019年と20年を通じて現在の政策金利水準を維持するとの見通しを示し、次の動きは上向きと下向きの両方ありうるとしていた。

今回の声明で総裁は「見通しのリスクバランスは下方に傾いた。世界経済がさらに悪化するリスクが高まり、低水準の企業景況感が引き続き国内消費の重しになっている」と指摘。

一方、企業がコストの上昇を一段と価格に転嫁できるならば、インフレ率は予想以上に加速する可能性があるとした。

ウエストパックのチーフエコノミスト、ドミニク・スティーブンス氏は「前回2月の声明から経済情勢はそれほど大きく変化していないため、中銀の姿勢の変化には非常に驚いた」と述べ、「他の中銀の対応が主な理由となったかもしれない」との見方を示した。

NZ中銀の2月の政策決定以降、米連邦準備理事会(FRB)は年内の利上げを見送る姿勢に転換した。

また、オア総裁は世界経済について、オーストラリアや欧州、中国といった主要な貿易相手国をはじめとして見通しが一段と弱くなっており、それを受けて各国中銀が政策見通しを弱めたことでNZドルに上昇圧力が加わっていると述べた。

NZ中銀は4月から、総裁のみが金利決定権限を持つ現行の枠組みから金融政策委員会(MPC)による政策決定に移行する。

*内容を追加しました。