【新】インスタグラムはどのように生まれたのか

2019/4/23
「インスタ映え」が日本の流行語大賞を受賞したのは2017年のこと。画像共有サイトのインスタグラムは、いまやリア充アピールが大好きな若者だけでなく、大企業のマーケティング戦略から、個人料理教室の宣伝、さらには過疎地の村おこしでも重要な役割を果たすようになった。

2010年に設立、12年にフェイスブックに10億ドル買収され、18年には世界ユーザー数が1億人を超えるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いのインスタグラムは、いったいどのように生まれたのか。

「Masters of Scale(マスターズ・オブ・スケール)」のリード・ホフマン氏が、18年9月にCEO退任を電撃発表したケビン・シストロム氏に、創業当初の話を聞いた(インタビューが行われたのは18年5月)。
Listen to Masters of Scale at applepodcasts.com/mastersofscale and follow us Twitter.com/mastersofscale.
【インスタ創業者】フェイスブックに身売りした理由
リード・ホフマン インスタグラムといえば、創業2年目の2012年にフェイスブックに10億ドルで買収されたことが大きな話題になりました。
ケビン・シストロム 2012年4月だったと思います。当時、私たちは資金調達活動をしていました。
スケールしなければいけないこと、そのためにはパートナーを見つけるか、問題に対処するための資金を調達しなければいけないことはわかっていました。
【インスタ創業者】夢中になれるもののコミュニティを作ろう
ホフマン 高校時代は写真よりも音楽に夢中だった。
シストロム ええ。写真部にも入っていましたが、デジタル写真はまだまだでし、写真を撮って現像するのは大変な作業でした。デジタル写真が現在のように安くていろいろ機能があったら、全く違っていたかもしれません。
【インスタ創業者】完璧を目指すな、不完全なものを愛そう
すごい望遠レンズのカメラを持って現れた私を見て、教授は「ノー、ノー、ノー」と言うんです。
教授は、「君は不完全なものを愛することを学ばなくてはいけない」と言いました。
【インスタ創業者】なぜグーグルに入社して2年で辞めたのか
グーグルに就職することにしたのは、私自身もプロダクトについて情熱を抱いていたからです。
自分の会社のプロダクトに何の思い入れもない人は大勢いますが、私は自分が愛していないもののために働くことはできない。だからグーグルを選んだのです。
【インスタ創業者】写真以外の機能は捨てる
ホフマン 「写真以外の機能は捨てる」という発想はどこからきたのでしょう。
シストロム 私はいつも、プロダクトを発表するときのことを意識していました。そして「これは何のサービスなのか」を明快に伝えたいと思っていました。
あれこれ機能が詰まったサービスだったら、ユーザーは友達になんと紹介したらいいのでしょう。
【インスタ創業者】成功の秘訣は「シンプルを維持する」
多種多様なユーザーがいるとき、どのようにシンプルを維持すればいいのか。
私たちはこの問いを毎週金曜日の社内ミーティングにかけています。
【最終話・インスタ創業者】インターネットをもっと優しい場所に
実は最近、「インターネットをもっと優しい場所にしよう」という活動を始めました。
起業家として、「世界に美しい写真を残したい」という目標を持つのは素晴らしいことなのですが、私はそれ以上を目指したいと思っています──。
連載「イノベーターズ・ライフ」、本日、第1話を公開します。
(予告編構成:上田真緒、本編翻訳:藤原朝子、バナー写真:MATT EDGE/The New York Times、デザイン:今村 徹)