墜落直前に手引書で異常原因探す、昨年のライオン航空事故操縦士=関係筋
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一連の事故を受けて,ある新聞社から,ハイテク機がパイロットの能力を低下させているのではないか,と質問を受けたことを思い出した.
ライオン航空の事故報告(preliminary版)がある.
https://reports.aviation-safety.net/2018/20181029-0_B38M_PK-LQP_PRELIMINARY.pdf
パイロットはスタビライザの動作がおかしいと気づいたと思う.トリムホイールの動きを見れば分かるから.離陸した瞬間に失速警報が作動したが,なぜかは分からなかったと思う.なぜスタビライザがノーズダウンの方向に動くのか分からなかったと思う.それを操縦桿の電動トリムコントロールで必死にノーズアップして打ち消そうとした.手動操縦と自動制御の格闘の跡が報告書の図でわかる.対処方法は,スタビライザの自動制御をカットアウトスイッチで切断し,トリムホイールをハンドクランク(手動で回す)してスタビライザを調整すれば良かった.その辺りは在来の737と変わっていない.パイロットもそうしようかと思ったに違いない(これは推測).では,なぜそれをしなかったのかと,後知恵があれば思ってしまう.パイロットは原因が分からず,またどこかの破損を自動制御が補償しているなら自動制御を切るとさらに状態が悪化するかもしれないと,考えたのかもしれない(これも推測).
パイロット訓練の大部分はトラブル対応です.しかし今回の事態は訓練にはなかったと思われます.訓練にないトラブルに遭遇したとき,パイロットの腕や勘や奇跡に頼るしかないのでしょうか? そうではない確実性の高い何かを考え,実現したいのです.
https://newspicks.com/news/3623110?ref=user_2112738
「落ちない飛行機」「落とさない飛行」.最近はドローンの人と思われているのですが,これは研究生命をかけて.ドローンも無関係ではない.
機体周りにカメラを着けて,周囲や舵面の動きを監視するシステムについて,リコー,JAXAと研究してい
ます.
NEDO「航空機用先進システム実用化プロジェクト (次世代自動飛行システム研究開発)」
https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100104.html
追記 字数制限。最初の質問に対する私の答えはまた。土屋先生のおっしゃる通りであると思います。リンクしていただいた事故報告書では、操縦桿のスティックシェイカーという失速警報装置がほとんどずっと作動していたことが読み取れます。一度フラップを出してみていますが、一瞬失速警報も止まったものの、すぐに警報を発し始めており、おそらくこの辺りから警報装置の誤作動を考えはじめただろうな、、と推測させます。
そしてなぜか機首下げに設定されるスタビライザー・トリムをみて、速度計や高度計がおかしいために警報装置やスタビライザートリムの誤作動が起きていると考えたかもしれません。ただし、この時パイロットにはくだんのMCASのことは知識としては存在しませんから、トリムの誤作動を切れば万事解決、という知識はありませんでした(正常に操縦するためには、とあれこれ試す選択肢としては持っていたかもしれません)。
何かあった時には、初動対応だけ終えたところでQRHという手順書を確認するのがパイロットの正規の手順ですが、速度計の異常であれば、この手順、高度計の異常であればこの手順、、などと原因として疑われる箇所の手順を確認し、問題解決の糸口を探していたのではないかと推測されます。しかしとりあえず引き返そうと高度を下げようと思ったところで異常なまでの機首下げになってしまい、あっという間に海面に叩きつけられてしまったと想像されます。
冷静に見ている第三者の立場であれば、事あるごとにぐるぐるとまわるトリムを見て、「これを切れば?」と素直に思うかもしれません。トリム装置の故障、という手順はQRHに載っています。しかし、その装置の異常がMCASのためにこのような形で出てくるという知識は当時はありませんでした。
一方で、エチオピア機のパイロットは、ライオン機での事例は知識としては持っていたことになっています。したがって、仮に同じような事故原因であれば、なぜ対応手順を知っていたのにそれが活かされなかったのかを調べなければなりません。この記事から読み取れた事は:
- 同じような墜落危機が事故前日にもあったが、非番のパイロットによりトラブル回避ができた
- 同様のトラブル回避方法を知っているかどうかは、パイロット次第
緊迫した短時間に、
複雑なシステムのマニュアルに目を通し、
解決方法を探すというのは現実的な解とは到底思えません。
人間が、緊急回避のために電子制御に介入した場合
制御を人間に返すのがセオリーです。
ましてや、高度な訓練を受けたパイロットが直感的に行う回避行為は何より優先されるべきです。
仮に、従来通りの回避操作ではより危険な方向に向かう特性があり、それを電子制御で押さえ込もうとしたが、
制御し切れない、という代物であれば、
ソフトウェアの改修で終わらそうという思想を捨てて、
一から作り直しです。
基本思想の通りに動かないのは何故か、
そこが透明性のある解決に向かう事を切に願います。