[東京 15日 ロイター] - 日銀は14、15日に開いた金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和政策の現状維持を賛成多数で決定した。足元の状況を受けて、輸出と生産、海外経済の判断を下方修正。総括判断の「緩やかな拡大」は維持したが、景気の先行きに警戒感をにじませた。

日銀は、長短金利目標とETF(上場投資信託)など資産買い入れの目標額を据え置いた。長期金利は「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」、ETFとREIT(不動産投資信託)は「市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうる」との方針を維持。長期国債の買い入れ額についても、保有残高の年間増加額を「80兆円をめど」としつつ、「弾力的な買い入れ」を継続する。

また、「2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」とした政策金利に関するフォワードガイダンスも維持した。

2%の物価安定目標の実現を目指して「これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続する」ことをあらためて表明し、経済・物価・金融情勢を踏まえて「物価安定目標に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う」とした。

YCCに対しては、前回会合に続いて原田泰審議委員と片岡剛士審議委員が反対票を投じた。原田委員は、長期金利の変動許容は「金融市場調節方針としてあいまい過ぎる」としたほか、片岡委員は、先行きの経済・物価情勢に対する不確実性がさらに強まる中「金融緩和を強化することが望ましい」として反対した。フォワードガイダンスについても、原田委員と片岡委員が反対した。

<総括判断「緩やかに拡大」は維持>

景気の総括判断は「緩やかに拡大」を据え置きつつも、「輸出・生産面に海外経済の減速の影響が見られるものの」という文言を付け加えた。先行きについても「当面、海外経済の減速の影響を受けるものの」との文言を加えたが、「緩やかな拡大を続けるとみられる」との見通しは維持した。

個別項目では、1月の生産や輸出が落ち込んだことを受けて、生産については「足元では弱めの動きとなっているが、緩やかな増加基調にある」、輸出については「足元では弱めの動きとなっている」とし、それぞれ「増加基調」としていた判断を引き下げた。また、海外経済についても「総じてみれば着実な成長」から「減速の動きが見られるが、総じてみれば緩やかに成長している」に下方修正した。

消費者物価(除く生鮮食品)については「0%台後半となっている」とし、予想物価上昇率は「横ばい圏内で推移している」とした。

先行きは需給ギャップがプラスの状態を続けることや、中長期的な予想物価上昇率が高まることなどによって「消費者物価の前年比は2%に向けて徐々に上昇率を高めていく」との見通しを据え置いた。片岡委員は「先行き2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低い」として、こうした記述に反対した。

午後3時半からは黒田東彦総裁が記者会見を行い、政策について説明を行う。

*内容を追加しました。

(清水律子 伊藤純夫)