[ウォルフスブルク(ドイツ) 12日 ロイター] - ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)<VOWG_p.DE>は12日、2028年までに約70モデルの新型電気自動車(EV)を投入すると発表した。

同社では、新たな排出ガス試験制度の影響で主力ブランドの営業利益率が低下。ゼロ排出車の導入を加速する。

主力ブランド「VW」の昨年の利益率は3.8%と、前年の4.2%から低下した。電気自動車への投資拡大や、排出ガス試験制度への対応に手間取ったことが背景。

同社は経営陣の給与および賞与と収益性との連動性を高め、複雑な製造過程を簡素化し、人員を削減することにより対応するという。

ディエス最高経営責任者(CEO)はアナリストらに対し、「人件費が最大の懸念事項」と指摘。「2018年にできなかったコスト削減と生産性の改善を目指す」方針を示した。

同社によると、VWブランドは2022年までに6%の増収率達成を目標に掲げているが、人員削減も含まれるという。

同社は同日、電気自動車(EV)の生産強化で人員削減が必要になるとの見通しを示した。[nL3N20Z28M]

一方で、ディエスCEOは「ソフトウエアが今後の自動車におけるイノベーションの9割を占める」とし、ソフトウエアの専門家の雇用を増やす意向を示した。

同社の2万人の開発者の90%がハードウェア向けだが、「2030年までに根本的に変化させ、ソフトウエアが開発費の半分を占めるようにする」とした。

また同社はこの日、2月に暫定ベースで発表した決算の全容を明らかにした。2月に発表した昨年の連結営業利益は139億2000万ユーロ(158億ドル)と、前年比で0.7%の伸びにとどまり、予想(145億3000万ユーロ)にも届かなかった。[nL3N20H5F4]

営業利益の大半を占めたのはアウディとポルシェ。特別項目計上前でアウディの営業利益は47億ユーロ、ポルシェは41億ユーロだった。VWブランドの営業利益は特別項目計上前で32億ユーロだった。

EV生産を強化する結果、EV用プラットフォーム「PPE」「MEB」を採用して生産する乗用車は2028年までに2200万台となる見通し。従来予想は1500万台だった。

売上高や営業利益率の予想は据え置いた。[nL3N20H5F4]

ディエスCEOは「われわれのブランドのポートフォリオの見直しを進めている。今年の下期により詳細を説明できる」と語った。

ポルシェとシュコダを売却することはないとし、「ポルシェがグループ内でいかに結びついているかが、時々過小評価されている。ポルシェはアウディのプラットフォームに80%依存している。ポルシェの17.5%という利益率はグループ内でのみ達成可能だ。これはシュコダについても言える」と説明した。