【結論】さらばジョブズ神話。「怖い上司」は職場に要らない

2019/3/11

根強く残る「パワハラ=有能」説

2020年大統領選に向けて、ベテランから若手まで出馬表明が相次ぐ米民主党。2月頭には、エイミー・クロブシャー上院議員が、地元ミネソタ州で大雪のなか出馬宣言をした。
だが、クロブシャー議員をめぐっては、「実はパワハラ上司だ」という元側近の告発が相次いでいる。感情の起伏が激しく、横暴で、スタッフを罵倒することも少なくない──。実際、クロブシャーの事務所は、上院でもスタッフの入れ替わりが激しいことで知られる。
「上司として厳しい態度をとることがあるかと聞かれれば、答えはイエス。スタッフに多くを求めすぎることがあるか? これもイエス」と、本人もCNNのフォーラムで語っている。
パワハラの告発が相次ぐエイミー・クロブシャー上院議員(写真:Erin Schaff/The New York Times)
厳しいリーダーは、温厚なリーダーよりも迅速に、すぐれた結果を出すことができるという思い込みは根強い。
これは、著名経営者の伝記の産物でもある。大学バスケットボールの名コーチとして知られたボビー・ナイトは、罵倒型リーダーの代表格だ。アップルを率いたスティーブ・ジョブズもそうだろう。
だが、組織論や生産性、リーダーシップ論の専門家は、「ジョブズらの成功は、罵倒型のリーダーシップとは関係ない」と口を揃える。あくまで、本人に類いまれな才能があったからこそだというのだ。