【直撃】イスラム国「最凶リクルーター」の意外な正体

2019/3/10

ISの「声」になったカナダ人青年

《この声に聞き覚えのある方はご一報を》。
FBI(米連邦捜査局)がそんな「お願い」を発表したのは4年半ほど前のこと。テロ組織・イスラム国(IS)が公開した動画『戦争の炎』(シリア政府軍の兵士たちが自分の墓穴を掘らされ、頭を撃ち抜かれる映像)で、ナレーションを務める男が誰なのか、突き止めるためだ。
北米のアクセントで流暢な英語を操るこの男は、イスラム国の顔なき伝道師として、数えきれない動画やラジオ放送に出演してきた。
そしてこの1月、シリアで捕らえられたカナダ人のモハメド・カリファ(35)が、その「声」は自分であると認めた。
シリア北東部の拘束施設でニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに応じたカリファは、少し前までISのメディア省の下っ端職員だったと語る。
「後悔はしていない。取調官にも同じことを聞かれたが、同じように答えた」
テロの専門家によると、ISがそのプロパガンダを英語圏に広め、賛同者を中東に引き込むうえで、カリファの英語のナレーションは計り知れない役割を果たしたという。