[ソウル 8日 ロイター] - 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、南北関係を担当する統一相を交代させる人事を決定した。大統領府が8日、明らかにした。

昨年4月から政府系シンクタンク韓国統一研究院の院長を務める金錬鐵(キム・ヨンチョル)氏が、趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相の後任に就く。

ハノイで開かれた米朝首脳会談前に、対北朝鮮制裁や米国との同盟関係に影響を及ぼすことなく、どのように北朝鮮との関係を構築するかを巡り、文政権内では亀裂が生じていた。

鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長などは、経済プロジェクトの推進を提案。一方、趙氏などは、北朝鮮に非核化を迫るため「最大限の圧力」を加えるというトランプ米大統領の方針を支持していた。

厳しい制裁を課すという趙氏の提案に対しては、多くの高官から驚きや批判の声が出た。

北朝鮮との和解を支持する金氏が統一相に就任すれば、同国との関係がさらに改善すると政府当局者は指摘する。

今回の人事は政権内の分裂を露呈すると一部のアナリストは指摘。韓国が北朝鮮問題で急ぎ過ぎているとの米国の懸念が今後高まる可能性もある。

金氏は、北朝鮮専門の教授で、前政権にも助言していた。南北経済交流の象徴といえる開城(ケソン)工業団地の2016年の閉鎖には反対していた。

文大統領はこの他、国土交通相、文化体育観光相、海洋水産相、科学技術情報通信相、中小ベンチャー企業相などの新人事も公表し、2017年の政権発足以降で最大規模となる内閣改造を発表した。

*内容を追加しました。