【独占】グーグルを辞めた「頭脳」が明かす、トヨタに来た秘密

2019/3/12
昨年10月、東京・日本橋に新たな会社がひっそりと本格始動した。
TRI-AD。トヨタの自動運転車を、現実の世界へと送り込むためのAI開発組織だ。
トヨタ、デンソー、アイシンの3社が出資するこの会社の社内公用語は英語であり、今年7月には仮オフィスから対面の新オフィスに移転し、1000人規模体制まで拡大する。
2016年1月に米シリコンバレーに設立されたトヨタのAI研究機関、トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)をトヨタの「第2の本社」とするならば、TRI-ADはいわば「第3の本社」と言えるだろう。
その理由は、トップに就任した最重要人物を知れば、明らかになってくる。
ジェームス・カフナー。米Googleの自動運転開発が極秘プロジェクトだった当初から12人の創設メンバーの1人であり、後にロボティクス部門のトップを務めていた人物である。
これまでにもトヨタや日本とは接点を持ちながらも、一時は今やトヨタのライバルたるGoogleに籍を置き、そして今、トヨタに合流するに至ったのはなぜなのか。
それは、彼のロボティクス界における功績や思想を理解すれば、自ずと浮き彫りになる。彼の「素顔」を通じて、トヨタの未来を占おう。
本日より全4回にわたってお送りする特集「トヨタ“第3の本社”」の第一回では、NewsPicksが実現した、ジェームスの独占ロングインタビュー前編をお届けする。
ロボット好きの少年、教師を目指す
カフナー 子供の頃から、ロボットやコンピュータが好きでした。マシンを使って、人間の肉体労働、そして今や知的労働を助けることができるというアイデアがとても面白い。
肉体労働と知的労働の能力を組み合わせれば、世界を変えるコンピュータ、すなわちインテリジェント・ロボットを作ることができる。そのコンセプトが好きなんです。
1989年から米スタンフォード大学でロボティクスを専攻していて、10年間学びました。インターネットが勃興し始めた、ちょうどその頃です。
1995年から1999年にかけて、シリコンバレーでは多くのインターネット企業が生まれましたね。クラスメートの中には、大学院を中退して、起業している人がたくさんいた。
米グーグル最初の社員として3人目のメンバーになったクレイグ・シルバースタインや、Yahoo共同創業者のジェリー・ヤンは同級生。一つ下の学年には、グーグル共同創業者のセルゲイ・ブリン、ラリー・ペイジがいた。
Google共同創業者のセルゲイ・ブリン(左)とラリー・ペイジ(右)(写真:ullstein bild/GettyImages)
同じ年に博士課程に入学した30人のうち、卒業したのはわずか14人のみ。これは当時、過去最低の率でした。中退した人は在学中から起業して大富豪になっていると思えば、卒業生のほうがデキが悪かったのかもしれない(笑)。
一方、僕はロボティクスの教師になりたかったので、そういった流れには目もくれずに、博士号を取るべく必死でした。