【落合陽一×石山アンジュ】信頼をアップデートせよ

2019/3/8
3月6日のWEEKLY OCHIAIは、内閣官房シェアリングエコノミー伝道師の石山アンジュさんをゲストにお迎えし、信頼とシェアリングエコノミーの未来について議論しました。
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信頼について考えよう

「信頼をどう捉え、再定義できるかが、シェアリングエコノミーの大きな鍵。」(石山)
シェアリングエコノミーが普及して3年。
新産業から、どう社会インフラとして根付かせられるか、議論は益々活発化している。
【石山アンジュ】2019年は“シェアリングエコノミー2.0”元年になる
そうした流れの中、「信頼」をどう捉えるかが重要だという石山アンジュさん。
この日のWEEKLY OCHIAIは、信頼とシェアリングエコノミーの未来について議論した。

契約とシェアは違う

落合 シェアを考える時に、パブリックとプライベートという考え方は結構面白い。つまり、何が公共で何が個人なのか。
自分の持ってるものをほらよって出すのが、僕はシェアだと思ってる。
みんなで持ってるものは、パブリックなものだから、あんまりシェアする意識はない。
落合陽一(おちあい・よういち)。1987年東京都生まれ。筑波大学准教授・学長補佐 デジタルネイチャーグループ主宰。ピクシーダストテクノロジーズ代表取締役。
自分が持ってるものをシェアする行為は、ヨーロッパやアメリカだったら、shareという言葉があるように、イメージがすぐつく。
けれども、日本って、シェアを物の貸し借りだと思ってたりするじゃないですか。
貸し借りがお金で成り立ってたら、それは契約によって成り立ってる。それはシェアじゃない。
落合さんによる解説の全貌は番組本編にて。

セミパブリックが狭まる現代

石山 私が見たいシェアの世界観は、本当に昔にあった、いわゆる境目のない世界観。
共有という1対1での貸し借りという形じゃなくて、そもそも子供は社会のものだし、ものも共有しているのが前提。自然とも共生している。
──長屋みたいなものですか。
まさに、長屋もそこの延長だと思ってます。
石山アンジュ(いしやま・あんじゅ)。1989年生まれ。「イノベーションの社会実装」をテーマに、ベンチャー企業と政府の官民パイプ役として規制緩和や政策推進などに従事。他「シェアガール」としてシェアリングエコノミーを通じたライフスタイルのメディア発信などトライセクターで活動。
落合 長屋って、セミプライベートだからね。旅館の居間くらいじゃないですか、あれ。
旅館のみんなで浴衣で過ごせる空間って、非常にセミパブリック。
すごいラフな格好してても、別に外敵が攻めてくる訳でもなければ、温度コントロールもされていて、物も盗まれない。
石山 そこが、社会的信用度というのが高かったんじゃないかと思っている。
それがどんどん無くなっていくことによって、鍵を閉めるようになるし、セミパブリックな空間がどんどん狭くなってるのが現代。
落合 確かに。プライベート側に寄ってるよね。家族の形も小さくなってるし、友達の付き合いもより密で小さくなってる。
ひょっとしたら、プライベートでもパブリックでもない、空洞化している真ん中にゆるく存在しているのが、シェアラブル。

シェアラブルと再定義する可能性

落合 でも、石山さんの考え方、結構面白いなと思っている。
例えば、パブリックな木材がシェアされているものと思うと、環境活動が捗るじゃないですか。つまり、なんかしようと思う。
僕らがパブリックだと思ってるものを、シェアしてるものなのだと捉え直す。
シェアしてるものだとしたら、メンテナンスもしないといけないし、半分プライベートにも近しいものだから、それがなくなったら自分が嫌だ。
シェアラブルだと再定義することで、SDGsの目標もよく分かる。
石山 ほとんどの社会問題が、シェアをアップデートすることで解決される。
満員電車でベビーカーの人たちが抑圧されちゃうみたいなことも、多分信頼を拡張することによって、自分事化できてたら解決すると思う。

テクノロジーは信頼を外在化する

ハイライト記事では、議論冒頭をご紹介した。
「デジタルネイチャーでは、信頼の損益分岐点が変わる。」
・なぜ、つながりと信頼は希薄なのか
・イデオロギーなき時代に信頼を担保するもの
議論の全貌は、ぜひ本編にてご覧ください。
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次回は「メディアをアップデートせよ」

3月13日は、落合さんが海外出張で不在のため、ホストを脳科学者の茂木健一郎さんが務めます。
ゲストには東京工業大学教授の柳瀬博一さんをお迎えして、「メディア」について議論します。
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<執筆:潘嘉敏、デザイン:片山亜弥、潘嘉敏>