[5日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は、米連邦準備理事会(FRB)が景気リスクが現実のものとなるか、判断するためには「数回の会合」を要する可能性があるとの認識を示した。FRBが当面、利上げを見送る可能性を示唆した。

今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つローゼングレン総裁は、5日に行う講演の原稿で、以前は利上げしなければ景気が過熱するという懸念があったが、インフレ圧力がほとんど見られないことなどを受け、いまは「さほど差し迫ったものでない」との認識を表明。欧州と中国の成長減速、および通商問題を踏まえると、米経済が力強さを保つと確信することは難しくなるとの考えも示した。

今回の発言は、ローゼングレン総裁の認識が大きく変わったことを示す。総裁は1月、より楽観的な経済予想が現実のものとなるなら、今年2回の利上げが必要となる可能性はなお存在すると述べていた。

5日の講演原稿は「FRBの政策責任者が、リスクが現実となるか、経済が昨年と比べてどの程度減速するかについて見極めるのは、FOMCを数回開催してからになる可能性がある」と指摘。

「金融市場の熱が冷め、インフレ圧力の兆候は目先見当たらないことから、いまは経済動向を忍耐強く見守ることが適切な方針で、予想に関するリスクの賢明な管理といえる」と述べた。

次回FOMCは3月19─20日に開催される。その後は、4月、6月、7月に予定されている。

経済が自身の予想通りに展開すれば、利上げは正当化されるかとの質問に対しては、確約するものではないとしながらも、利上げが「検討事項となる」状況はあり得ると述べた。

ローゼングレン総裁は昨年、労働市場の引き締まりがインフレ懸念の高まりにつながる可能性があると指摘していたが、5日の講演原稿では、雇用市場の回復が物価上昇の「大きなリスク」をもたらしていないとの認識を示し、その理由として、企業がコスト上昇を吸収できるほどのマージンを確保している可能性を指摘した。

総裁は、今年の成長率が2%を若干上回り、インフレ率はFRBの目標である2%近くになると予想。

ただ、債券市場と海外の株式市場はなお高水準のリスクを織り込んでおり、米経済が今後どのようなリスクに直面するかについて、不確実なメッセージを発していると述べた。

*内容を追加しました。