【松田憲幸】すべてイチキュッパ、ソフトの「コモディティ化戦略」

2019/3/16

ソフトウェア業界の危機

ソースネクストが成長期に入った2003年ごろ。私は家電量販店で1本1万円以上するのが常識だったパソコン用ソフトウェアを、一律1980円、いわゆる“イチキュッパ”で売るという決断をします。
そのころの私は「このままだとソフトウェア業界は危ないのではないか」という危機感を覚え始めていました。
感覚的には、パソコンも普及してきている段階でしたが、何となくソフトが売れなくなってきていたからです。
パソコン用のソフトウェアは、軽く1万円ぐらいするのが当たり前。これは価格が高すぎるのではないかという気がしていました。
当社は1999年に「McAfee(マカフィー)」というセキュリティソフトの日本語版の独占販売権を取得し、2001年に 4980円まで価格を下げたことがありました。すると非常によく売れたのです。
パソコンの値段はどんどん安くなっているのに、ソフトは依然として1万円前後。みんな簡単に手を出せない価格です。それならやはり価格を下げたほうがいい。
そこで急に、「価格を1980円にするしかないんじゃないか」とひらめいたのです。