シェアリング型キッチンを提供する中国・北京の「パンダ・セレクテッド(Panda Selected)」が、5000万ドルの資金を調達した。トラヴィス・カラニックが経営する「クラウドキッチンズ(CloudKitchens)」は、中国進出を狙っていると噂されている。
厨房スペースだけをレンタルする
中国各地の大都市では、スマートフォンのアプリでフードデリバリーを頼む客が多く、レストランでは消費者を自分の店に呼び込むのに悪戦苦闘している。
そうした理由から、レストランが厨房スペースだけをレンタルするシェアリング型キッチン市場が成長を遂げつつある。そうしたレストランには、テーブルや椅子もなく、ウェイターも存在しない。
シェアリング型キッチンのスタートアップ「パンダ・セレクテッド(Panda Selected:熊猫星厨)」は2月22日、世界各地の投資家で構成されるグループから5000万ドルの資金を調達したと発表した。
北京を拠点にするパンダ・セレクテッドは、不動産を次々と取得している。地元のライバル企業や、ロサンゼルスの「クラウドキッチンズ(CloudKitchens)」よりも先手を打とうというのだ。クラウドキッチンズは、ウーバー共同創業者で資産家のトラヴィス・カラニックが経営しており、潤沢な資金を持つ。
パンダ・セレクテッドへの新たな投資を主導したのは、タイガー・グローバル・マネジメント。カラニックが2017年に退陣に追い込まれる前に、ウーバーを支援していたヘッジファンドだ。パンダ・セレクテッドへ投資した企業には、DCMやゲンブリッジ・キャピタル(Genbridge Capital)なども名を連ねている。
パンダ・セレクテッドによれば、最新ラウンドにより調達資金の総額は8000万ドルに上った。これにより、パンダ・セレクテッドの評価額は3億ドルとなると、事情通の関係者は話す。情報はまだ公表されていないため、名前は伏せられた。
1カ所で20のレストランが営業可能
パンダ・セレクテッドは、厨房スペースと厨房器具、マーケティングを提供している。レストラン側は、厨房をシェアできれば諸経費を抑えることが可能だ。
レストランは月額料金を支払うが、追加料金を払えば、データアナリティクスなどのサービスも利用できる。
それらのデータをもとにメニューをあれこれ調整し、デリバリープラットフォームの「Meituan Dianping(美団点評)」や「Ele.me(餓了麼)」を使って配達を行い、売り上げを伸ばすことができる。
パンダ・セレクテッドの創業者ハイペン・リーは、2016年に同社を起業。いまでは中国国内で100カ所以上のシェアリング型キッチンを運営しており、今後8カ月でその数を倍増させる予定だ。
同社のキッチンスペースは、それぞれ広さが400から500平方メートルほどで、1カ所で15から20のレストランが営業できるとリーは言う。パンダ・セレクテッドはまだ利益が出ていないが、2019年末までには収支が合う見込みだ。
世界各地で「厨房の共有」実験中
中国国外の企業も、厨房を共有するというコンセプトを実験中だ。こうしたビジネスは「クラウドキッチン」または「バーチャルレストラン」と呼ばれることもある。
ロンドンを拠点とする「デリバルー(Deliveroo)」は、高級レストランがロンドン中心部以外でも料理を提供できるよう、イギリス各地でシェアリング型キッチン(名称は「フィールド・キッチン」)を展開している。
デリバルーの元幹部も、厨房を提供する企業をフランスのパリで立ち上げた。ウェイターも食事スペースも存在せず、社名だけを掲げたその厨房では、テイクアウト用フードが調理される。
この市場で最も潤沢な資金を持つ企業に、カラニックのクラウドキッチンズがある。香港英字紙『サウスチャイナ・モーニングポスト』の報道によると、同社は中国への進出を検討中だ。
パンダ・セレクテッドのリーは、自分たちにはお金では買えないような、地元ならではの強みがあると話す。
「シェアリング型キッチンを開くには、地元についての知識が必要だ」とリーは述べる。「国によって規制が違うからだ」
原文はこちら(英語)。
(執筆:Selina Wang記者、翻訳:遠藤康子/ガリレオ、写真:©2019 Bloomberg L.P)
©2019 Bloomberg L.P
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.