【統計の隙】日本のキャッシュレス比率は「世界で普通」だった

2019/3/8
現在、日本のキャッシュレス比率は、他の先進国と比べて遅れているというイメージは強い。
経済産業省が2018年4月に公表した数字では「18%程度」とされ、その理由として「現金を好む国民性」があるとまで書かれている。
さらに、日本のキャッシュレス比率を引き上げようと、消費税増税への対応も兼ねて、3000億円にも上るキャッシュレス還元策も打ち出されようとしている。
しかし、この「18%程度」というキャッシュレス比率は真実を表しているのだろうか──。
(写真:ZUMA Press/アフロ)
分子と分母に「トリック」
経産省が出す「キャッシュレス比率」は、同省の「キャッシュレス検討会」が2018年4月に公表した報告書「キャッシュレス・ビジョン」に掲載されている。
同報告書10ページの「各国のキャッシュレス比率の状況(2015年)」の図は、新聞・雑誌に多く引用され、話題を呼んだ(図1)。