【落合陽一×安田洋祐】資本主義をアップデートせよ2

2019/3/1
2月27日のWEEKLY OCHIAIは、大阪大学准教授の安田洋祐さんをゲストにお迎えし、現在の資本主義をどうアップデートできるか議論しました。
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お金以外のものさしを増やす
「ベーシックインカムは、お金のものさしからは逃れられない。」(安田)
この日のWEEKLY OCHIAIは、大好評を博した「資本主義をアップデートせよ」の続編。
大阪大学准教授の安田洋祐さんを再びゲストにお迎えし、資本主義について議論した。
100%の資本主義はない
安田 資本主義の定義は、人によってバラバラですが、だいたい私有財産、利潤動機、市場経済の3つの要素は含まれます。
100%の資本主義は、現実にはもうないです。
3つの要素の中で、どれくらい資本主義を追求するか、どこまで社会主義に寄せていくかは、国や時代によって、アプローチがいくらでもある。
安田洋祐(やすだ・ようすけ)。大阪大学准教授。1980年東京都生まれ。2002年東京大学経済学部卒業。最優秀卒業論文に与えられる大内兵衛賞を受賞し、経済学部卒業生総代となる。2007年プリンストン大学よりPh.D.取得(経済学)。政策研究大学院大学助教授を経て、2014年4月から現職。
重要なのは、新しいテクノロジーがいろんな選択肢を可能にしてくれてる。
シェアリングなんかが分かりやすい。後は、クラウドファンディングもそう。分人、トークンエコノミーなんかも、昔は出来なかった。
そういった新しい仕組みをつくるための技術が出てきて、コストが下がっている。
安田さんによる、資本主義のアップデート策解説は番組本編にて。
テクノロジーによる新たなアプローチ
落合 基本的にだいたい新しく出てくるのは、インターネットの恩恵だと思うけど、あまりテクノロジーが寄与してる感じがしない。
対象の価値算定とか、費用算定とか、コスト算定のコストがゼロになる。その恩恵を受けてるのがあまりない。
つまり、人工知能とか機械学習が入ってきて、統計的判断に対する人的コストが下がった時に、どういう振る舞いをするのか指摘されていない。
落合陽一(おちあい・よういち)。1987年東京都生まれ。筑波大学准教授・学長補佐 デジタルネイチャーグループ主宰。ピクシーダストテクノロジーズ代表取締役。
安田 確かに、落合さんがおっしゃってた意味でのコスト低下が、劇的に可能性を広げたタイプのものは書かれてないかもしれないですね。逆にいうと、そこは…。
落合 これから出てくるんだろうな。
特に、私有財産と言ってるものも、例えば自動運転車とか出てきたら、それは私有でも公営でもないもの。セミパブリックなもの。
つまり、今まで乗合でやってた公共交通機関だったものがもっと小さくなって、そのうち小ちゃな権利で買えるようになった状態。
安田 ベーシックインカムとシェアリングの、良いとこ取りというか、アイデアをつなぐのに、ベーシックサービスみたいなものがあるかもしれないですよね。
お金を使わずに無料で移動ができる。無料で最低限の衣食住がまかなえる。それも究極的には、技術が解決してくるかもしれない。
落合 そう、ベーシックサービスみたいなの。
あと、利潤動機も、他人からの動機づけになるようなものが、今後は伝えやすくなってくる。
例えば、この人が本当に嬉しいかどうかを、機械が〇〇さん喜んでるよっていうのを言ってくれれば、ある程度やる気になったりする。
機械に動機づけされるような事は、増えてくるんじゃないかと思う。
安田 実は、トークンもそこが狙い。
実際に企業内仮想通貨とか出始めてますけど、ちょっと手伝ってもらったら100トークン。
仲間内でいいねみたいな感じで使えるトークンを導入することで、今まで見えてこなかった善意みたいなものが出やすくなれば、企業組織が円滑に回るきっかけになるかもしれない。
安易な社会主義思想は危ない
──『エコノミスト』で、ミレニアル世代の社会主義への支持率が上がっているみたいな特集がありましたよね。
安田 僕はやばいと思った。資本主義の代表的な国であるアメリカで、社会主義の方が良いと言ってる若者が実際に増えてきてる。
政治的にも経済的にもほとんど自由がないような、過去失敗してしまった社会主義は知らないので、抵抗がないんですよね。そこにナイーブに憧れちゃってる人がいる。
なので伝えたいのは、待てと。資本主義の中でも社会主義に寄せていこうと思えば出来る。
そういう選択肢があるんだから、軽々しく社会主義国家になろうみたいなのは、ちょっとどうかと思うんです。
落合 2点ポイントがあって、社会主義をやるとして、トップに人間を据えなくていいという考え方、それが公平か公正かみたいな話が出てくる。
あと、ここまで遺伝子工学が発達すると、遺伝的な能力差を埋めるようなテクノロジーとか、それに対してやれることを増やすような社会ができると思うのは、結構ナイーブな考え方。
それは西暦3000年ぐらいにゴールとして存在するのかもしれないけど、西暦2100年代に成り立つ気がまだしてない。
安田 あと、社会主義と言った時に、政治的な意味での社会主義なのか、経済の仕組み自体を計画経済型にするのかギャップがある。
そこをごっちゃに議論されがちな点は心配。
それこそ、中国は共産党の一党支配という意味では、社会主義的な政治システム。けれども経済に関しては、利潤動機とかは日本以上に利潤を追求してる世界。
ベトナムも、ドイモイ政策という資本主義的な政策をとってる。
政治的に社会主義の国でも、経済の仕組みは資本主義寄りに来てるのは、歴史が教えるところ。
それを忘れて、現在も計画的に回せるんだって発想になるのは危ないと思います。
落合 うん、回らないからね。
まあ、回らないと思っていることが、きっと古いと言われる時代はやがてくる。でも、それが今かと言われると、今ではないと思う。
安田 百歩譲って、回るとすると一番大事なのは、市場経済のところ。
市場の利点って、単に効率的でパイが大きくなることじゃない。
ハイエクが強調したんですけれども、誰が何を欲しいか、需要の見える化が行われるのが、市場の極めて良いところ。必要としているニーズ・欲求を見える化できるシステムが市場なんです。
日本の資本主義を変えるには
「素人思考の時にしか、トレードオフを超えるようなジャンプは出てこない。」(落合)
日本発のトークンエコノミーの可能性とは。
・アップデートには違うトレードオフが必要
格差ベーシックインカムについても取り上げた、資本主義をアップデートせよ第2弾。
学び溢れる議論はぜひ本編にてご覧ください。
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次回は「信頼をアップデートせよ」
3月6日は、『SHARE LIFE』著者で、シェアリングエコノミー伝道師の石山アンジュさんをゲストにお迎えします。
テーマは「信頼」。
【石山アンジュ】2019年は“シェアリングエコノミー2.0”元年になる
今回の議論でも論点として挙がった「シェアリングエコノミー」についても論じていきます。
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<執筆:潘嘉敏、デザイン:片山亜弥、潘嘉敏>