ファーウェイの奇跡を生んだ中国の甚大な加護
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ファーウェイの成長を支えた中国国家開発銀行の支援について。
まあ、インフラの売り込みには民間企業の仕事といえどもお国がセットになってくる……という意味では、よくある話のようにも思えますが、それをアメリカが問題視しているとなると、なかなか解決は難しそうです。
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ベンダーファイナンスでは通信会社の経営悪化が融資の焦げ付きに直結し、メーカーにとっての不良債権に変わる。このため欧米メーカーは近年、ベンダーファイナンスを縮小させている。その空隙を埋める形で躍進したのが開発銀とファーウェイだ。通信事業者にとってはベンダーファイナンスと同じ効果があるのに、ファーウェイの財務は傷まない。そして世界の通信市場における中国企業の躍進という、政策目標も達成できる。
開発銀は、中国政府の外貨準備高が増大した2000年代前半からは、企業の海外進出支援にとくに軸足を置いている。またリーマンショックで世界の融資が収縮した局面では、開発銀の国際業務は逆に飛躍的な伸びを示した。
前述の開発銀の公式サイトでは、ファーウェイについてのくだりの直後に、同様に支援を受けた企業として中国石油天然気(ペトロチャイナ)、中国石油化工(シノペック)、宝山鋼鉄、中国五鉱などが列挙されている。これらの企業はいずれも、中央政府が直轄する最重要国有企業(中央企業)。つまりファーウェイは資本構成では確かに民間企業だが、政府からは最重要国有企業と変わらない扱いをされている。
アメリカはこういった事実を基に、ファーウェイが中国企業でもとくに中国共産党政府の恩恵を受け、政策の実現に役立っていると理解している。この構図が変わらない限り、アメリカはファーウェイを問題視し続けるだろう。中国の主要な企業は、中国国営の開発銀のファイナンスの手厚い支援を通じて、実質的に国営で政府の重要な関与がある。ファーウェイは、さらに、情報インフラの性質上、国防への影響も大きいので、米国は危険視しているということでしょう。