【直撃】サムスン、LGが競って出資した福岡発ベンチャーの正体

2019/2/26
2016年4月、「朝鮮日報」の一面トップに興味深い記事が掲載された。韓国のサムスンとLGが、日本のとあるベンチャーに共同出資する、というのである。
このニュースは日本でも報じられたが、韓国ではより驚きをもって受け止められた。何しろ、サムスンとLGといえば、最大のライバルにして犬猿の仲でもある、韓国電機メーカーの2トップだ。
この2社の“呉越同舟”を実現したのが、九州大学発のKyulux(キューラックス)という材料ベンチャー。有機ELパネルの発光材料を開発する企業だ。
有機ELパネルの進化のカギは、最重要とされる発光材料の中でも「青色」が握る。世界中が開発に取り組むのもこの「青」であり、日本の出光興産がトップを走る分野でもある。
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そしてキューラックスもまた、まさにこの「青」のイノベーションを起こそうと奮闘する企業なのだ。
サムスン、LGによる出資の経緯から、次世代パネルのテクノロジーの「現在地」まで、同社の安達淳治CEO(元パナソニック)、水口啓CFO(元シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト)、岡田久CTO(元富士フイルム)に、たっぷり話を聞いた。
韓国「2強」が福岡で手を結ぶ
──韓国のサムスン、LGが共同で出資をしていますね。
岡田 そうですね。スマホ向けの中小型パネル市場で独占的に有機ELを供給しているサムスンと、テレビ向けの大型パネル市場で独占的に供給しているLG。
そんな世界2トップが、われわれキューラックスに対して、同じ条件で共同出資するという発表をしました。2016年2月のことです。
われわれは、もともと九州大学の安達千波矢教授が、有機EL材料の「第三世代」と言われる技術を2008年に発見したことに端を発する企業です。
安達教授が世界的なサイエンス誌「ネイチャー」上で発表した2012年ごろから、世界からも注目されるようになりました。
実はサムスンやLGは、安達教授がネイチャーに発表した頃から、共同研究をしたいと声をかけてくれていたんです。