【大宮エリー】絵のド素人から「売れっ子アーティスト」へ

2019/2/25
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたちが、時代を切り取るテーマについて見解を述べる連載「イノベーターズ・トーク」。
第178回(全3回)は、縦横無尽な活動で知られる大宮エリー氏が登場する。
東大で薬学を学ぶも、「マウスに注射するのが怖い」という理由から研究者の道を断念。
大学卒業後は、電通に入社してCM制作などを手がけるが、「サラリーマンに向いていない」という理由で独立。
『週刊文春』のエッセイ連載「生きるコント」で人気を博し、ショートムービー『海でのはなし。』で映画監督デビューを飾り、NHKのコメディ番組「サラリーマンNEO」の脚本を手がけるなど、ボーダーレスに活躍する彼女の“肩書”は増える一方。
その中で、年々存在感を増しているのが「アーティスト」という肩書だ。
1月に代官山ヒルサイドテラスで開かれた個展「Beautiful Days~美しき日々」を皮切りに、今年はパリ、香港、ミラノの各地で個展が開催されるという。
マルチな才能に恵まれる一方で、「何でも屋」というポジションに悩んだこともあるという希代のクリエイターが、今「アート」に力を注ぐ理由とは?
ずば抜けた受容力で、あらゆるジャンルの仕事にコミットしてきた彼女ならではの、フレキシブルな生き方に迫る。
1975年、大阪生まれ。映画監督、映像ディレクター、演出家、脚本家、コピーライター、作家、ラジオパーソナリティーなど、多岐にわたりボーダーレスに活動を続ける。近年はアーティストとしての活躍が目覚ましい。画集に『EMOTIONAL JOURNEY』(フォイル)がある。新刊『虹のくじら』(美術出版社)刊行記念トークショー&サイン会を、3月7日(木)19時より、代官山の蔦屋書店1号館にて開催。
「無茶ぶり」に応えてアートの世界へ
──多彩な仕事ぶりで知られるエリーさんですが、この1年はアートを中心に活動していたそうですね。
大宮 自分から積極的にそうしたというより、アート系の依頼が多かったんです。一つひとつが大きな仕事なので、結果としてアートばかりやっているような形になりました。
今、日本ではなかなか絵が売れないのですが、今回の個展では7~8割の作品が売れたんです。美術館の館長さんに作品を買ってもらえたりしたので、励みになりましたね。
私は絵の勉強をしていないのですが、それでもアーティストとして成立するんだという自信につながりました。
──アーティストとして活動を始めた、そもそものきっかけは?
2012年にパルコミュージアムで個展をやったのが最初。パルコの担当者に「展覧会をやりませんか?」って言われたのがきっかけです。
そのとき「私、展示するもの何もないですよ」って答えたら、「エリーさんって、いろんな仕事をされてますよね。本も書くし、ラジオも演劇もドラマも映画もやるけど、アートだけやってなくないですか?」と言われて。
「大宮エリーがアートをやるなら、どういうものをつくるのか、それが見たい」と、パルコの人は言ってくださったんです。「そこにお金を出します」って。
その心意気を「かっこいいなぁ」と思ったんですね。
私には見えていない「アーティスト・大宮エリー」が、パルコの人には見えているわけじゃないですか。
そこで逃げるわけにはいかないというか。「じゃあやります」ということで、お受けしたんです。
「Beautiful Days~美しき日々」
「心」に「手触り」を与える
──最初の個展はどのようなものだったのですか?