【新】ポケトークを生んだ伝説の起業家、ソースネクスト社長の正体

2019/3/9
【松田憲幸】なぜ大物創業者たちはシリコンバレーに住むのか?
私はいまシリコンバレーのパロアルトという市に住んでいます。
自宅はアップル創業者の故スティーブ・ジョブズさんの邸宅から徒歩3分ほどのところ。そしてグーグル創業者のラリー・ペイジさんの家もさらに近くにあります。
フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグさんもご近所で、クルマを運転中、ジョギング中の彼を何度も見かけています。
まずは、なにゆえにここに住むと決めたのか。なぜこのタイミングだったのかをお話ししましょう。
【松田憲幸】TOEICの点数を上げる「統計」的英語学習
TOEICで点数を上げる鍵の一つは英語を速く読めることです。
読むスピードを上げるためにはどうするか。
【松田憲幸】英語とコンピューター、両方できる人は少ない
IBMの社内にも、コンピューターができて、なおかつ英語ができる人はあまり多くありませんでした。
私は「英語ができて、メインフレームができて、パソコンもできる人間になろう」と決めて、ひたすら4年間勉強しました。
【松田憲幸】27歳、年収1000万の誘いと日本支社長のイスを蹴る
当時私は27歳でしたが、提示された年収が1000万円。当時の年収は600万円強。
年収が高くなった分、社会貢献にお金を使えば正しいというふうに考えるようになったのはこのころです。
これで踏ん切りが付き、IBMには申し訳ないですが、「すみません。辞めます」と告げました。
【松田憲幸】ソースネクスト創業。家電量販店で自らソフトを売る
パソコンソフトを提供するソースネクスト株式会社を立ち上げました。
ソフマップの人が、「松田さん、そんなわざわざ売りに来ていただかなくても、私たちで売りますよ」と言ってくれました。
でも私はできるだけ自分で店頭に立っていたかったのです。
【松田憲幸】日本人の一本指タイピングに危機感、「特打」開発
パソコンが一般に普及し始めたばかりのころは、ほとんどの人が「一本指打法」だったのです。
「日本はいまのままでは世界に取り残される」
そこで考えたのが、遊びながらタイピングを練習するソフトを作ることでした。
出来上がった「特打」は満足のいく出来栄えで、月2万本ペースで売れていきました。
【松田憲幸】大ばくち、3年分の全利益をテレビCMにつぎ込む
タイピング練習ソフト「特打」を広めるために私が打って出た大ばくちとは、創業以来、これまで得た全利益を使ってテレビCMを流すというものでした。
そうして作ったのが、ムエタイのCMです。
【松田憲幸】すべてイチキュッパ、ソフトの「コモディティ化戦略」
ソースネクストが成長期に入った2003年ごろ。私は家電量販店で1本1万円以上するのが常識だったパソコン用ソフトウェアを、一律1980円、いわゆる“イチキュッパ”で売るという決断をします。
100タイトルプロジェクトチームを結成し、全国のソフトウェア会社に頭を下げて回りました。
「御社のこのソフトを1980円で売らせてもらえませんか」
「1980円? ふざけるな」という対応も珍しくありませんでした。
【松田憲幸】3万円のソフトも1980円。「ホームの端には立つな」
ふと目にしたのが、数年前にヒットした映画『タイタニック』に関する記事でした。
映画『タイタニック』は過去の映画制作史上、最大にお金をかけて制作していました。
259億円もかけているのに、なんで1800円で見られるのか。
【松田憲幸】セキュリティソフトの常識を変えた「更新料ゼロ円」
2006年、われわれはさらに大きな挑戦をします。セキュリティソフトの更新料ゼロ円というものでした。
セキュリティソフトを使い続けるためには「更新料」を払わなければならないことが当たり前でした。
【松田憲幸】「利益を出すには2つしかない」ドラッカーの言葉
この時期は勘が鈍っていたというか、やることなすこと、うまくいきません。
恒常的に利益を出すにはどうしたらいいのか、あらゆる経営本を読みあさりました。そのときいちばん響いたのが、ドラッカーの言葉です。
【松田憲幸】「どん底」経験が決断させたシリコンバレー移住
私はつくづく反省しました。
東証1部上場という目標が低すぎた。もっと大きな目標を持たなければならない。
世界を見渡してみると、われわれと同じIT企業でも、桁違いに成長している会社はたくさんあります。
シリコンバレーでは、そんな会社が毎日生まれ、激しい生存競争を繰り広げている。自分もその場に身を置いてみれば、世界で戦えるようになるのではないか。
【松田憲幸】挑戦しないなんて損だ
成長の速さと規模の大きさが違うし、それに数も多い。
こんな環境にいると、「挑戦しないなんて損だな」という気がしてくるのです。
【松田憲幸】人と会うことでしか、ビジネスは成長しない
私はインターネットやメディアなどの二次情報よりも、直接人と会ったほうがいいと思っています。
直接話さないとわからないことのほうがはるかに多い。直接話すためには、これはもう会うしかないと思います。
【松田憲幸】「言葉の壁をなくす」ポケトーク誕生秘話
いま、ソースネクストのポケットに入る大きさの通訳機「ポケトーク」が好評いただいています。
現在、74言語に対応しています。ドラえもんに「ほんやくコンニャク」というひみつ道具が出てきますが、まさにそれを具現化したものだといえるでしょう。
【松田憲幸】販売11日で売り切れ、ポケトーク大ヒットの要因
テレビCMに明石家さんまさんを起用しようと決めたのは私です。
さんまさんといえばとにかく話が面白い。「トーク」といえばさんまさんですから、製品のイメージとの結びつきが最高にいい。
【松田憲幸】翻訳機で英語学習は不要になるか?
考えてみれば、われわれは矛盾を抱えた会社に見えているかもしれません。
語学学習教材ロゼッタストーンを提供することで、日本人に「語学を学んでください」と言いつつ、その一方で「語学を学ばなくてもポケトークがありますよ」とも言っている。このような会社は世界で当社だけではないかと思います。
しかし私たちにとっては、矛盾でもありません。
【松田憲幸】優れた技術者との出会いから革新的な製品が誕生する
優れたテクノロジーを持っている人たちとの出会いがないとイノベーティブな新製品は誕生しません。
iPodも日本に来ていたスティーブ・ジョブズと彼の部下が東芝と会い、5GBのハードディスクを見つけ……というように、さまざまな人との出会いから生まれたものでしょう。
【松田憲幸】ストックオプションを全社員に配る
私は2012年に、会社の施策としてストックオプションを全社員に配ることを決めました。
そうすべきだと思ったのは、こんな会話がきっかけです。
【松田憲幸】全社員からアイデアを公募。7年間で10万通に返信
社員からイノベーションやマーケティングのアイデアを募る具体的な方法は、毎日メールで送る日報の中に直接書いてもらうというものです。
私は一人ひとりから届いたマーケティングやイノベーションのアイデアを全部読み、それに直接返事を書いています。
始めてから7年3カ月間の間におよそ10万通のメールに返信していました。
【最終話・松田憲幸】世界一エキサイティングな企業を目指す
今後、ソースネクストは、どんな会社を目指していくのか。
同じ価値を生み出すのであれば、社員数が少ないほうが、社員一人ひとりの貢献度が高いということでやりがいを感じます。そして、社会に与える影響の大きさが大きいほうが、よりやりがいを感じます。
会社の価値である時価総額を社員数で割った社員1人当たりの価値を計算してみると、エキサイティング度の一つの指標になるのではないかとひらめきました。
そこでさまざまな会社の1人当たりの時価総額を出してみると、上位に面白いほど綺羅(きら)星のような会社ばかりずらりと並びました──。
連載「イノベーターズ・ライフ」、本日、第1話を公開します。
(予告編構成:上田真緒、本編聞き手:後藤直義、洪 由姫、撮影:後藤直義、本編構成:長山清子、デザイン:今村 徹)
イノベーターズ・ライフ
ソースネクスト社長・松田憲幸の半生
  1. 【新】ポケトークを生んだ伝説の起業家、ソースネクスト社長の正体
  2. 【松田憲幸】なぜ大物創業者たちはシリコンバレーに住むのか?
  3. 【松田憲幸】TOEICの点数を上げる「統計」的英語学習
  4. 【松田憲幸】英語とコンピューター、両方できる人は少ない
  5. 【松田憲幸】27歳、年収1000万の誘いと日本支社長のイスを蹴る
  6. 【松田憲幸】ソースネクスト創業。家電量販店で自らソフトを売る
  7. 【松田憲幸】日本人の一本指タイピングに危機感、「特打」開発
  8. 【松田憲幸】大ばくち、3年分の全利益をテレビCMにつぎ込む
  9. 【松田憲幸】すべてイチキュッパ、ソフトの「コモディティ化戦略」
  10. 【松田憲幸】3万円のソフトも1980円。「ホームの端には立つな」
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  12. 【松田憲幸】「利益を出すには2つしかない」ドラッカーの言葉
  13. 【松田憲幸】「どん底」経験が決断させたシリコンバレー移住
  14. 【松田憲幸】挑戦しないなんて損だ
  15. 【松田憲幸】人と会うことでしか、ビジネスは成長しない
  16. 【松田憲幸】「言葉の壁をなくす」ポケトーク誕生秘話
  17. 【松田憲幸】販売11日で売り切れ、ポケトーク大ヒットの要因
  18. 【松田憲幸】翻訳機で英語学習は不要になるか?
  19. 【松田憲幸】優れた技術者との出会いから革新的な製品が誕生する
  20. 【松田憲幸】ストックオプションを全社員に配る
  21. 【松田憲幸】全社員からアイデアを公募。7年間で10万通に返信
  22. 【最終話・松田憲幸】世界一エキサイティングな企業を目指す