iPS細胞:遺伝子操作で「拒絶反応なし」 米カリフォルニア大発表
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注目のコメント
マック(濱松誠)からご指名を受けたので、ゆうたんもコメントさせて頂きます。
論文発表時に実はコメントしていまして、その時のリンクはこちらです。詳しく解説しています。
https://newspicks.com/news/3684539/
これらのニュース論文は須田さんのコメントにもあるユニバーサルセル社などの既報のコンセプトに、更にCD47と言われる分子を過剰に発現させる様に遺伝子改変しているものです。CD47は “don’t eat me” シグナルを発動する分子であり、マクロファージ等ある種の免疫細胞に食べられない様にする分子です。
ついでにこの間ノーベル賞を受賞された、本庶佑先生のPD-1のスイッチを押すPD-L1は “don’t find me” です。その他にも免疫を回避する分子は機能やどの細胞を抑えるかによって様々あります。
うちのラボもiPS細胞研究所の中で研究していますが、実験レベルはまだしも、実用化レベルにおける完全なる拒絶フリーというのは想像するより多くの課題があります。
iPS細胞ストックに関しても、ユニバーサル化の技術が後からできて来て、無駄になる様な印象で語られることが多いのですが、このコンセプト自体はES細胞の時からありますし、できれば明らかに有用なので知らないところからいきなり出てきたわけではもちろんありません。色々な時間軸的なタイミングと技術課題のバランスが絡み合って、ケースバイケースに論じる必要があります。
論文の話に戻りますが、論文のクオリティ的には、高額なマウスを使ってのデータもやり込まれており、高いと思います。
Hypoimmunogenic derivatives of induced pluripotent stem cells evade immune rejection in fully immunocompetent allogeneic recipients. Nature Biotechnology, 18 February 2019免疫拒絶反応が起こらないように遺伝子操作したiPS細胞の開発に関する研究成果。昨年、アステラス製薬が買収した米国のベンチャー、ユニバーサルセル社も同様の技術を開発していました。日本では京都大学iPS細胞研究所でも研究開発が進められています。
将来、細胞移植治療(再生医療)に応用できるようになれば、あらかじめさまざまな白血球型のiPS細胞をそろえる必要はなくなるかもしれません。iPS細胞ストックの今後のあり方については、こうした最新の研究開発の動向も踏まえた議論を期待したいです。