[東京 20日 ロイター] - 米系投資ファンド、ベインキャピタルが主導する日米韓連合のファンド傘下にある半導体大手、東芝メモリが9月の上場を計画し、準備に入ったことが分かった。事務主幹事証券に野村証券と三菱UFJモルガンスタンレー証券を選定すると共に、三井住友銀行など主力取引銀行から受けている6000億円の融資を、最大1兆円規模のシンジケート・ローンに借り換える調整に入った。

複数の関係筋が20日、明らかにした。

関係筋によると、ベインキャピタルなどは、東芝メモリを早期に上場させ、投資資金の一部を回収するとともに東芝メモリの設備投資資金を調達したい考えだ。上場すれば時価総額2兆円超になる見込みだ。

すでに上場の手続きを担う事務主幹事として、野村など2社を選定した。今年度中に主幹事証券やグローバル・コーディネイターを選び、早ければ9月の上場を目指して準備を加速させる。

上場に際して、株主構成を整理する必要があると判断し、日米韓連合に加わっている米アップル<AAPL.O>やシーゲート、キングストン・テクノロジーなどIT企業4社が保有する優先株約4000億円超を買い戻して消却する。買い戻し費用の約4000億円は主力行からの融資で賄いたい考えだ。

三井住友銀行やみずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行など主力行は、日米韓連合に6000億円を融資しており、東芝メモリは買い戻し費用と合わせて総額1兆円規模の借り換えを求める。銀行団は借り換えに応じる方向で、新たに地銀や生保などにも声を掛け、1兆円規模のシンジケート・ローンを組成する検討に入った。

一方、東芝メモリは新たな出資先として、政府系ファンドのINCJ(旧産業革新機構)と、日本政策投資銀行にも2000億円規模の出資を求める方向だ。両社が出資に応じれば、東芝メモリが銀行から調達する金額は減る可能性がある。

東芝メモリは、経営危機に陥った東芝<6502.T>が資金捻出のためにベインが主導する日米韓連合に2兆円で売却。東芝は再出資をしており、議決権ベースで40%を保有している。

(布施太郎、藤田淳子 編集:田巻一彦)