【核心】スマホの「熱」は太陽レベルに。AIと5Gをめぐる大問題

2019/2/23
人工知能が人間を超えるのは2030年か、それとも2045年か。否、そんな時代はいつまで経っても来ないかもしれない。
あるいは、4Gより超高速に、遅延なくリアルタイム通信が可能となる、第5世代通信(5G)。
実は、それらの夜明け前にして、素材開発の世界で密かに大問題となっているテーマがある。「熱」の問題だ。
通信速度や処理速度を上げてゆくのは、バーチャルではなくフィジカルなテーマだ。必要な材料が生み出されないことには、AIや通信の進化を実現するハードウェアは生まれないのである。
(写真:Joe Buglewicz/The New York Times)
米インテル史上、最年少の32歳でバイスプレジデントに就任したパット・ゲルシンガー氏は2001年に、興味深い話をしている。
「半導体チップの高性能化が今のペースで進めば、2010年にチップの熱密度は原子炉と同じくらいに、そして2015年には太陽の表面と同じくらいになる」
こうしたスマートフォンなどの電子デバイスや、サーバーなどの「熱」は、半導体封止材料などの素材によって放熱がなされてきた。
しかし、その最適なハンドリング手法はまだ確立されておらず、今後、「限界」に達する可能性はある。つまり、熱はAIや通信インフラが進化していく上で、そのボトルネックにもなりかねないのだ。
そうした中、数多くの素材・化学メーカーや国の研究機関が、相談に駆け込む先がある。塩見淳一郎。東京大学の研究者だ。
われわれの豊かな未来を阻みかねない「熱」問題。熱が生まれる最小単位の量子力学から、その制御に挑む「熱の第一人者」が、NewsPicksの読者だけにこの問題を分かりやすく解説する「特別講義」をお届けしよう。
熱が分かれば、未来が分かるといっても過言ではないのだ。

ムーアの法則の「逃げ道」