「スマートマッピング」技術を採用

ロボット掃除機「ルンバ(Roomba)」を製造するアイロボット(IRobot)が、共同創業者で最高経営責任者(CEO)でもあるコリン・アングルが言うところの「第二幕」の全容を明らかにした。芝刈り機だ。
ロボット芝刈り機「テラ(Terra)」はルンバと同じく自動で稼働し、バッテリー残量が少なくなると、作業の途中でもホームベースに戻って充電を行う。
スマホアプリで芝刈りのスケジュールを設定したり、特定の場所の芝を刈るようプログラムしたりすることもできる。
アイロボットによれば、テラには「スマートマッピング」技術が採用されており、前後に直線的な動きで効率よく芝を刈る。花壇に入らないようにするための柵は必要ないという。
アングルCEOはテラについて「ルンバ以降の歴史のなかで、もっとも求められてきた次世代型ロボット」と述べる。同氏によれば、ルンバがデビューしてからというもの、顧客から同じ質問を寄せられ続けてきたという。「いつになったら、うちの芝生を刈ってくれるロボットを発売してくれるのか」という質問だ。
ルンバがデビューしたのは2002年。その後、2015年にアップグレードが行われ、ルンバは家の屋内をマッピングできるようになった。

「ルンバ級のビジネスチャンス」

アングルCEOはテラを「ルンバ級のビジネスチャンス」と呼んでいる。ルンバはアイロボットで最も大きな売り上げをあげる製品だ。同社はこれまでに、ルンバを全世界で2500万台以上売り上げている。第3四半期の総売上は2億6450万ドル(約290.4億円)に達した。
アイロボットのプール掃除ロボット「ミラ(Mirra)」が「本当の意味で長期のレベニュードライバー」ではないのに対して、ルンバはアイロボット売上の約10パーセントを生み出している。
テラが2019年に目立った売上を記録することはないだろうが、2021年ごろから成長を先導する存在になるはずだと、アングルCEOは話す。
アライド・マーケットリサーチによれば、ロボット芝刈り機の市場規模は2017年の5億3800万ドル(約590.7億円)から、2025年までに14億ドル(約1537.2億円)に成長する見込みだという。
アイロボットのライバルには、韓国のLGエレクトロニクスや本田技研工業、ドイツのロバート・ボッシュといった企業がある。アイロボットの本社はマサチューセッツ州ベッドフォードにある。
アングルCEOによれば、テラにはルンバと同じような技術が用いられている一方で、安全性を重視しつつ、屋外のさまざまな気象条件に耐えられるよう設計する必要があっという。
また、テラには刈刃をはじめとする標準的な芝刈り機のメカニズムも組み込まれている。「従来型の芝刈り機と比較しても、まったく引けを取らない、本格的な芝刈り機だ」とアングルCEOは語る。

ドイツで2019年発売、他国は2020年

1月上旬にラスベガスで開催されたテクノロジーカンファレンス「CES」でアングルCEOは、ブルームバーグ・ニュースにテラを見せてくれた。
アイロボットは当初、2004~2005年ごろにテラの開発に着手したが、ルンバに注力するために同プロジェクトをいったん保留にしたという。
同社はその後、4~5年前にテラの開発を再開した。アイロボットはこれらのほかにも、床拭きロボット「ブラーバ」を製造している。
アイロボットのコリン・アングル最高経営責任者(CEO)、
テラはまず、2019年にドイツで発売されることになっており、テストプログラムとしてアメリカでデビューすることも決まっている。アングルCEOによれば、アメリカをはじめとする他国での発売は2020年になる見込みだという。
競争力のある「求めやすい」価格を設定するつもりだと、アングルCEOは述べる。現在市場に出回っているロボット芝刈り機の価格帯は、1000ドル(約11万円)から3000ドル(約33万円)以上だ。
テラのローンチがドイツで行われるのは、同国にはロボット芝刈り機がすでに存在しており、それが比較対象をつくり出しているからだと、アングルCEOは話す。また、ドイツの芝生はアメリカのそれに比べると複雑ではないためでもあるという。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Mark Gurman記者、翻訳:阪本博希/ガリレオ、写真:©2019 iRobot Corporation.、©2019 Bloomberg L.P)
©2019 Bloomberg L.P
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.