[東京 7日 ロイター] - ニコン<7731.T>は7日、2019年3月期(国際会計基準)の連結営業利益予想を前年比42.3%増の800億円に上方修正した。従来予想から60億円上積みした。オランダ半導体製造装置大手ASML<ASML.AS>とドイツ光学機器大手カールツァイス[CZTOP.UL]から受けとる特許訴訟の和解金を反映させた。ただ、この影響を除くとカメラ事業の不振や一部顧客の半導体露光装置の納入先送りが響き、実質下方修正となる。
会見した岡昌志副社長兼最高財務責任者(CFO)はカメラ事業の不振について「経営として重く受け止めており、一層の危機感を持って対応する必要がある」と語った。
カメラなど映像事業の営業利益予想は前年比17.2%減の250億円に下方修正した。従来予想は同2.6%増の310億円で、増益予想は一転、減益予想となった。レンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラの販売計画を引き下げたことなどを反映させた。売上高にあたる売上収益予想も前年比15.4%減の3050億円と、従来予想から150億円下方修正。岡副社長は「第4四半期以降も厳しい状況が続くと認識している。高付加価値製品シフトを従来以上に進める必要がある」と述べた。
一方、半導体露光装置などの精機事業の営業利益予想は前年比48.2%増の790億円に上方修正した。従来予想から110億円上積みした。特許訴訟の和解金を反映させた。ただ、売上収益予想は一部顧客の納入先送りが響き、前年比22.4%増の2770億円(従来予想2820億円)に下方修正。精機事業の営業利益は110億円上方修正したが、和解金約190億円がなければ、納入先送りの影響もあり、実質下方修正となる。
全体の売上収益予想は前年比0.4%増の7200億円と、従来予想から200億円引き下げた。
<中国リスク>
岡副社長は一部半導体露光装置の納入を先送りしたのは中国の顧客であることを明らかにした。同社の売上高に占める中国事業の占める割合は約30%と、米国の約25%を上回り、最大の市場となっている。
岡副社長は中国リスクへの対応について「映像事業では無理に価格競争をして売り上げを伸ばすことは必ずしも良い戦略ではない。FPD露光装置や半導体露光装置は競争力を持っているのでしっかりニーズに応えることが重要だ」と語った。
(志田義寧)