[東京 6日 ロイター] - ソフトバンクグループ<9984.T>が6日発表した2018年4─12月期連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年比61.8%増の1兆8590億円となった。国内通信事業が堅調に推移したほか、ビジョンファンドも利益を大きく押し上げた。英半導体設計会社アームの改善も寄与した。会見した孫正義社長は「ビジョンファンドが大きく伸びた」と総括した。

ビジョンファンド、デルタファンドからの営業利益は8088億円だった。米配車大手ウーバー・テクノロジーズ[UBER.UL]や米シェアオフィス運営会社ウィーワークの価値が上昇する一方、エヌビディア <NVDA.O>の株価下落が評価益を2995億円押し下げた。

ビジョンファンドは1月、保有するエヌビディア株を全て処分した。

孫社長は「まだまだ伸び盛りなユニコーンが沢山あるので、そちらに資金を投入していくために全株を現金で回収した」と語った。

売上高は前年比5.1%増の7兆1684億円だった。

同社は業績予想を開示していない。4─12月期の営業利益実績はリフィニティブがまとめたアナリスト17人の通期予想の平均値1兆5910億円をすでに上回っている。

<時価総額が低いのは「時差」>

午後4時から午後5時半まで予定されていたこの日の会見。これまでは孫社長が1時間程度説明して、質疑応答に30分程度をとるケースが多かったが、この日のプレゼンテーションは1時間半に及んだ。その大半を費やしたのが、ソフトバンクグループの企業価値とビジョンファンドの投資先である人工知能(AI)の将来に関する説明だ。

孫社長は自社株の時価総額について「安すぎると心から思っている」と不満を漏らした。

このため、同社は通信子会社ソフトバンク<9434.T>上場で得た資金を活用して、発行株の10.3%にあたる1億1200万株の自己株買いを実施する。取得金額は上限6000億円。取得期間は2月7日から2020年1月31日まで。同社にとっては2016年に実施した5000億円を上回る過去最大の自己株買いとなる。

孫社長は「ソフトバンクグループは投資会社になった。所有している事業会社の株式の価値がソフトバンクグループの価値となる」と強調。同社の時価総額が保有する株式価値を下回っている状況が続いていることについては「時差だ。人々の評価はいずれついてくる」と述べ、長い目で見れば保有株式の価値に見合う時価総額になるとの認識を示した。

第2のビジョンファンドに関しては「いずれかの時点で次の投資資金を募る形になる」としながらも、現時点では「時期尚早」と述べるにとどめた。

(志田義寧)