テレビ業界に殴り込みをかける無料アプリ「Locast」の衝撃

2019/2/6
あらゆるコンテンツをタダで
ニューヨークのセントラル・パークのはずれにそびえる、高さ177メートル強のゴージャスな高層ビル。その屋上に、弁護士のデイビッド・グッドフレンドが設置した1.2メートルのささやかなアンテナが、テレビ業界全体を揺さぶる脅威となっている。
このアンテナは空中を飛び交うテレビ電波を拾う──NBCもABCもFOXも、CBSや公共ネットワークPBSもすべて。もちろん、大人気テレビドラマ『THIS IS US 36歳、これから』も、2月3日に行われたばかりの米スポーツ界最大のイベント、NFLの優勝決定戦「スーパーボウル」の中継電波も。
拾われたコンテンツがインターネットを通じて送られる先は「Locast」というアプリ。あらゆるネットワーク放送の番組を、自宅のテレビで見るより便利な形で提供するストリーミングサービスだ。利用者はほとんどあらゆるデバイスで、好きなときに、何の邪魔も入らずに好きな番組を視聴できる。しかも、利用料は(ほぼ)タダだ。
どこかで聞いたことのある話? そう思うのは、米メディア業界の大物バリー・ディラーが支援したスタートアップ、「エアリオ(Aereo)」を憶えている人だろう。
エアリオは2012年、地上放送のテレビ電波を受信して、放送局に1セントも支払わずにインターネットで無料配信するサービスを開始して業界に衝撃を与えた。NBC、CBS、ABC、FOXは団結して同社を提訴。2014年になって、米連邦最高裁判所がエアリオの著作権侵害を認める判決を下した。