【新】映像大手ロボットが挑む、クリエイターを育てる町おこし

2019/2/18
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたちが、時代を切り取るテーマについて見解を述べる連載「イノベーターズ・トーク」。
第176回(全2回)は、映像制作会社ロボットが運営する「合志市クリエイター塾」の活動を取り上げる。
ロボットは、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなどを制作する大手クリエイティブプロダクションだが、2015年から熊本県の合志市(こうしし)の一般市民を対象にした映像クリエイターを育てる塾を運営している。
この塾は移住者誘致を目的に、同市の荒木義行市長が発案したもので、ロボットの運営によって、ミラノ万博の日本館の映像演出を担当した清水亮司氏など、多彩な第一線クリエイター陣が講師を務める。
今年5期目を迎えるが、すでに地元の企業から映像制作を有償で請け負う市民クリエイターが次々と誕生しているという。
「地方は才能を秘めたクリエイターの宝庫です。すでに毎年10人くらいお金を取れるクリエイターが出ており、合志市はもうクリエイターが続々誕生するというユニークな町になってきていると思います」
そう語るのは、このクリエイター塾の運営を担うロボットのプロデューサー、柳井研氏だ。果たして、どのように映像制作未経験の市民にプロ級の映像を撮るノウハウを伝授しているのか。
「クリエイター養成による町おこし」という珍しいチャレンジの経緯、そして未経験者がプロ級の動画を撮るコツを聞いた──。

市民クリエイターを養成する理由

──ロボットが熊本で運営する「合志市クリエイター塾」から、NIKEのWeb映像にも携わるお坊さんなど、さまざまな市民クリエイターが誕生しているそうです。そもそも映像制作プロダクションの大手であるロボットが、4年前に地方創生策として地方で市民クリエイターの養成を始めた理由とはなんだったのでしょうか?